「邦題は要らない」レンブラントは誰の手に キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題は要らない
原題「My Rembrandt」で、観賞した者には十分作り手の意図が伝わるし、邦題の「名画の争奪戦」的なミスリードはこの作品にとってむしろ好意的なレビューを減らすことになっていないか?
…と私には直接関係ないことを思いながら、劇場を後にした。
絵画取引の常識に関しては私の不勉強から不可解な部分もあったが、「名画」と言われるものが、財産的価値や個人の名声や所有欲、国の威信という意味合いで高く取引されていることは私でも知っている。
一方で、そういった何かの加減で簡単にゼロになるような言わば「虚飾の基準」によって数字化され取引きされながら、才能の具現化である「絵画」そのものと、それを愛し続ける人々は現実だ。
そこで、この映画は「さあ、レンブラントは誰のもの?」と問かけてくるわけだ。
当然それぞれにそれぞれの言い分があるし、何かが一方的に正しいということはない。
その辺りを皮肉も込めながら、ドキュメンタリーでありながらちゃんとドラマとして見応えがあった。
また、繰り返しそれぞれの絵画を細かな筆致まで見えるくらいに接写でしっかり映してくれている辺りも、個人的にはありがたかった。
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