アリスの住人のレビュー・感想・評価
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ドラマものである必要性が薄い
ファミリーホームを題材にした作品ということで、インディーズには珍しく冒頭の方から普通の劇映画っぽい演出で始まり見辛いとは感じませんでした。
ただ段々話が盛り下がっていき、ほとんどなんの変化もないまま映画が終わってしまったのは拍子抜けしました。そういった部分が「リアル」と感じて作られたのかもしれませんが、それなら劇映画ではなくドキュメンタリーでやれば良かったのではと思ってしまいました。
里親制度の拡大版とも言うべきファミリーホームという場所に
焦点を当てたという意味では素晴らしい映画だと思います。
ただ正直申し上げますと、それ以上でもそれ以下でもないです。
実父から性的虐待を受け続けた少女。
実父からアルコールによる暴力をふるわれた少女。
実母から育児放棄された少女。
家庭に居場所がない彼女たちは、ファミリーホームで養育者である夫婦と補助者の青年と共に暮らす。
で?という。
結局のところ、観終わった後にはこの作品って一体何が言いたかったんだろう?という疑問が残ってしまいました。
つぐみがなぜ突然海に行きたいと言い出したのか分からんし、嫌悪感の裏返しの男性依存としても、あまりに語られるものがなくてやっぱりよく分からんし。
母親に本当のことを言いたいけど言えなかった。それはよく分かります。でも結果としてファミリーホームで暮らしているということは、恐らくどこかで発覚したのかなと。
でも、描写がない。
細かいところを想像するには、あまりに材料がなさすぎる。
なお深夜の公園でリスカ痕のある少女を見つけたら、ストレートに家庭に返すのではなくて児相とか役所に相談するのが警察の仕事と思ったんですが。どうなんでしょう。
市役所と一般社団法人日本ファミリーホーム協議会が噛んでいる映画のようですが、題材とエンドロールの尾崎豊がもったいないなというのが正直なところでした。
君はそいつらより永遠に若い❗️
我が国の児童福祉法における『児童』とは、満18歳に満たない者。
そして、ファミリーホームの対象児童は要保護児童(児童福祉法の定義:保護者のいない児童または保護者に監護させることが不適当であると認められる児童)となっています。
ということは、要保護の環境・状況はまったく改善されていなくても、18歳以上になれば、ファミリーホームから出て自立しなければならない。ということになります。
もちろん、私は専門家ではないから知らないだけで、何らかの救済措置や実態に則した柔軟な行政の対応が用意されているのかもしれません。
にしてもキツくないですか。
特段環境的に恵まれてるとは言えない私のような凡人でも、それなりの人生経験、つまり仕事やら人間関係などから、自分なりの世渡り方法や処世術を学ぶことはできますが、幼少期に負った耐え難い傷を抱えた少年少女が、18歳になったらいきなり、自立せよ❗️これからは自分の力で人生を構築していくのだ❗️と突き放されるわけですよね⁈
『君は永遠にそいつらより若い』という映画がありましたが、アリスの住人のつぐみが、佐久間由依が演じたホリガイのように生きていけるのか。
自力で乗り切るにはあまりにハードルの高い傷を負った人たちへの寄り添い方について、簡単に答えは出ない。だけど、当事者にとってはいつも問題は目の前にあり、時間的な余裕はない。
それでも、このような現実があることを当事者でない者が、いつも意識し続けることには意味がある。
今言えるのはそれだけです。
重くて難しいテーマ扱っておけば、それだけで良い作品作ってる気になれますよね
題材になったマイノリティを批判してるみたいになるから作品内容の批判もし辛いし、みんな面白かった、みんな良かった、って言ってくれるんじゃないですか?
ただまぁ、テーマが重くて難しいだけに簡単には答えなんて出ないし、他とは違う作家の視点なんて見せつけることはできないですよね
だから、海を見に行って夕日バックに花火させて、ロケーションだけ良くしてなんか盛り上がって終わった感出すことで映画を終わらすという暴挙に出ないといつまで経っても終われないですよね
重くて難しいテーマを扱う割に問いに対する答えを出さずに映画を終わらせるという姿勢、作家として実はすごく安易なことをしてることに監督さん自身が早めに気付けるかどうか、それが全てですね
テクニカルなことでいえば、主人公にだけ見えてる少女?実態は猫?は不要ですね
アル中親父と娘の下りも不要です
主人公をメインプロットとしたときに、そこを盛り上げるサブプロットとして全く生かされてないし、結局は長編扱いされたくて、やみくも違う話も混ぜ込んで強引に尺を稼いでるだけです
あと、主人公が顔長い男の子に心を開いて肉体関係になるのが意味不明でした
ストーリー的にそうしたいのは分かるけど、親父にレイプされたトラウマがある主人公がなぜこの男に心を開くのか、カラダを許すのかが全く動機付け出来てませんね
簡単なのは一目惚れさせることですけど、申し訳ないけど不細工だから女性がすぐ好きになるとも思えません
主人公は可愛いから男の子は惚れたなら分かるんですけど、だったら主人公は拒絶して徐々に心を開いてくれないと……
そこにもちゃんと特別な理由をいくつか用意してくれないとダメなんですよ本当は
じゃあどうすれば良かったかというと、現在進行形で母親にネグレクトされている少女のパートをもっと粒立てて、主人公と少女の母親(とヒモか実の父親を出して)がもっとバチバチやり合う形にすれば一番良かったと思います
必然的に主人公は自分の過去体験を少女に重ねるし、自分が両親に言いたかったけど言えなかった感情を吐き出すことになるので過去の呪縛から一歩踏み出した行動を取れる
主人公が能動的になって物語が現在から未来に動き出します
そうすれば多すぎる回想やモノローグの説明を全部カットできますから一挙両得ですよ
それと作品内容というか監督さん自身の人間性や価値観だと思うんですけど、重くて難しいテーマを扱う割に性格良いキャラばかり出しすぎです
性善説だけではなくて性悪説も同じくらい無いと綺麗事の美辞麗句を並べただけの薄っぺらな話になりますし、現になってます
だから例えば、未だにトラウマに苦しむ人たちばかりが集まるファミリーホームの食事風景があんなに和やかなものでも無いと思いますよ
誰かに寄付してもらわないとその日の食事にすら困るとか、子供には食べさすけど、大人は我慢して飯抜きとか、腹を空かして悪態つく子もいるとか、大人は大人で金で揉めるとか、そういう現実的で負の部分が常につきまとってるんじゃないですかね?
ドキュメンタリー番組みたら分かるじゃないですか? 貧困層ほどいつも喧嘩してますよ
マイノリティーで貧しい人たちが集まってるのに、こんなに和やかなのが、そもそも薄っぺらくて入っていけないんですよね
だから、ファミリーホームにお金を入れるためにも主人公はカラダを売ってるのかと思いましたけど、そういうわけでもないというね……
テ○キレベルですけど、過去のトラウマから自分を卑下して、自分は汚い、汚れていないといけないという強迫観念が芽生えていてカラダを売っているならよく分かるなぁと最初は感心したんですけど、好きで特別になったっぽい顔長い男の子とも普通にセックスしちゃうのがもうダメダメだなぁ、と思いました
それもベタですけど、主人公に求められても男の子はセックスを拒否して「自分をもっと大事にしな」ぐらい言うんじゃないですか?
カラダを求めてこない男は初めてだったとか、それで主人公も思い直してカラダを売るのを止めたけど、ファミリーホームも資金繰りに困っててどうしてもお金が必要で最後に1回だけ……と思ったら男の子に知られて音信不通になってしまうとか、いくらでも面白く出来そうなのに、そこにたどり着ける脚本は書けない
この辺がやっぱりインディーズレベル、シネマロサの特別上映なんですよね……
じゃあ観に来るなとは思わないでください
未来の巨匠の出世作を探すのが映画を観る楽しみの1つなんです
99%は観なくてもよかったと後悔してますけどね
話が逸れましたが、あと気になったのは編集ですね
そもそも不要な下りも多いですけど、編集の間も悪くて、カットバックで会話してるだけのシーンとか、カットごとに何フレームずつか切れそうなのに切らないから、その何フレームずつがドンドン重なって、ドンドンたるくなります
そういうのもあって、60分の割にはすごく長くて退屈に感じました
あ、あと少女の性的暴行シーンを描かないのは正しいと思いました
いかにフィクションでも、ちょっと観賞に耐えられません
しかし、それが有ったことを連想させるために桃を食べさせるという演出がしつこい
監督は何か発明した気だろうけど、くだらないし笑わせようとしてのかと思うぐらい滑稽でしたよ
にも関わらず同じ画を使い回しすぎでした
監督さんの肩書きがいっぱいあった気がしましたが、少なくとも脚本と編集は優秀な他人に任せるようにならないと上にはいけないんじゃないでしょうか
重いテーマを64分でどう纏めているのかと思いましたが、短さを全く感...
重いテーマを64分でどう纏めているのかと思いましたが、短さを全く感じませんでした。
笑いを誘うようなところはほぼなく、これ以上長い上映時間だとテーマが重い分、しんどくなるでしょう。
自分はこの上映時間は丁度よいと思いましたし、とても真摯に向き合って作られた作品だと感じました。
ラスト付近の、ある加害者の父親のシーンはいろいろ考えさせられました。
いじめや育児放棄、性格破綻したような家族が児童虐待の原因というのはありがちですが、ふつうの人がある時心が折れて急に加害者になってしまう、ということも現実には多いのかもしれません。
散々虐待された挙句に最後に加害者とあんな対話できるかなぁ。自分だったらたぶんできないだろうなぁ。
最後の主題歌やスタッフロール後のシーンも含めて、監督の希望を感じました。
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