「秘密の扱い方」エマの秘密に恋したら KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
秘密の扱い方
予告でうたってる通り、主人公のエマが飛行機で隣り合わせになった男性に自分の秘密を明かしそれが職場のオーナーのジャックでありその秘密を話してくれた一時にオーナーはエマに魅力を感じ恋に発展するというストーリーである。
前半は女性視点の下ネタが多く笑えるシーンが多々あり。ジャックと職場で鉢合わせになり気まずくなるコメディなんかもくすりと笑える。
中盤から後半にかけて前半の様なコメディは抑えめになりエマとジャックの恋愛描写が優しく描かれる。
この作品のテーマは秘密の扱い方。エマは好きになったジャックにはあれよこれよと自分の秘密をペラペラ話してしまう。聞き手側のジャックはその話を包み込む様に聞いてくれるためエマは話が弾んでしまうのであろう。
ジャックも秘密を話してくれるエマに魅力を感じている。
一方ジャックはあまり自分の事を語りたがらない。そんな心内をエマも察して強く興味は示さない。
本来この関係は良好な関係なのだが、誤解を招く。
ジャックはエマの秘密が魅力的であるが故についテレビのインタビューで語ってしまうのだが、エマは他人には知られたくなかった為とても傷つく。
また立場上、上司と部下であるため親密な関係を同僚達に知られるきっかけとなり、同僚達から良く思われずさらにエマは心に傷を負う。
傷を負ったエマはジャックの事を振り返り、自身は自分の事を語りたがらない事を今となって不審に思い2人の溝は深まる。
もちろん最後はお互いが誤解しあってた事を認め合い理解し合って作品は終わる。
この秘密の扱い方の描き方が非常に魅力的に描かれていた作品だった。
人の秘密って自分から大したことない様に思ってしまうと時に軽い扱い方をしてしまいそれが傷つけてしまうことがある。
ではなんでも秘密にすればいいのかというとそれもまた違う。自分を晒けださないことは自分を守る事には繋がるが、やはりなんでも隠してしまうと人と人との距離はなかなか縮まりづらい。秘密を共有できる関係というのはやはり美しいものであり求めたくなるのも人間の性である。
この自分のそして他人の秘密の扱い方というのは人間関係構築において非常に大切であり、難しくもある事をこの作品では時に明るく、時に切なく、そして優しく描かれている作品で合った。
自分自身を振り返ると年齢を重ねると共にあまり秘密をはじめとした他人への興味や関心は減り、そして自分を語りたがらなくもなってきている。それ故に自分自身、そして他人を巻き込んだこの作品で描かれているようなトラブルや悩みって久しく経験がない。
学生時代の方がこういう事に関して興味関心があったり、自分自身に対しても敏感であったなと学生時代を思い出したりもした。
ジャックの立ち位置や、会社の存在、テレビのインタビューの内容など細かい設定部分において気になるシーンは所々あったが、コメディ映画として見る分には楽しくそして優しい気持ちになれる時間となった。