「プロ意識のかけらも無い看護師」Swallow スワロウ √さんの映画レビュー(感想・評価)
プロ意識のかけらも無い看護師
プロット的に仕方がないことなのかも知れませんが、元訪問看護師としては難民出身の看護師の行動が何一つ理解出来ません。
・出会って早々に「戦場では精神を病んでる暇はない」つまりは「精神病は甘え」ととれる発言を主人公にする。
精神病の患者さんの看護にあたって精神病を否定する発言を行うことはありえません。
案の定、この発言を受けた主人公はストレスを感じて異食衝動に駆られています。
・主人公がトイレに行く際に、主人公のボディチェックのみを行いトイレ自体のチェックを怠っている。
自傷行為を行う可能性の高い患者さんに対して危険物のチェックが甘すぎます。
・錯乱状態の主人公がベッドの下に入り込んた際に、あろうことか一緒に寝いってしまう。
その隙をついて主人公はドライバーを飲み込んでしまいました。
・最後に何を考えているのか身を保護すべく精神病棟に向かう主人公の逃亡を手伝いました。
医療人としての責任放棄です。
精神病の主人公が自傷行為に走り、最後には胎児まで危害を及ぼしたことについて、主人公を責める気にはなれません。
病気とはそういうものです。
しかし、その主人公の看護を請け負った看護師には主人公と胎児を守る義務があります。
看護師が主人公の逃亡を幇助したせいで、胎児は誰にも守ってもらえずに死んだのです
なぜ看護師がそのような行為に及んだのか?
鑑賞する限りではその理由は読み取れませんでした。看護師が主人公と深く通じ合う描写もなかったように思います。
この看護師の医療従事者としてあるまじき行動の数々が、観賞後の私の喉のつかえとなってむず痒いです。
患者さんが診察の場で晒した秘密を勝手に家族にばらす精神科医もそうですが、
プロットの都合のためだけに用意されたようなプロ意識のかけらもない看護師の存在がこの作品からリアリティを消し去っています。
裕福な家庭に雇われているのです。
それだけ腕を見込まれているはずでしょう。
さらには難民出身ということで家族を養うために職を失うわけにもいかないはず。
なのに、何故そのような行動に出たのか?
説明が少なすぎて、やはりプロットのためだけに用意されたエセ看護師にしか思えません。