「【彼女が様々な”異物”を飲み込んだ理由・・。】」Swallow スワロウ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【彼女が様々な”異物”を飲み込んだ理由・・。】
ー 序盤のハンター(ヘイリー・ベネット)と夫リッチーの夕食のシーン。リッチーは妻の問いかけにもうわの空でスマホでメールをしている。
ガラス越しに、映し出された二人の夕食風景の寒々しい事・・。ー
■ハンターの周りの、様々な”異物”
・裕福な両親に育てられたリッチー。
一見、妻であるハンターを愛しているように見えるが、彼の言動を見ていれば、その愛情は薄っぺらい表面的な事が良く分かる。
・リッチーの両親。夕餉で、ハンターの言葉を遮り自分の事を喋る父親。ハンターに事前連絡なく、妊娠したハンターに”私も妊娠した時に読んだの・・”と本を押し付けて、さっさと帰る母親の姿。
ー リッチーの両親は、ハンターを”孫を産む存在”としか見ていない。
ふと、『83年生まれ キム・ジヨン』を思い出す。
人間は、自己の存在意義を認められないと、精神に異常を来すことがあるのであろう。ー
・ハンターの母親。そして、愚かしき”実の”父親。
ー あろうことか、リッチーはハンターの”異食症”を”悪意なく”周囲に言い触らしていた事が分かるシーン。
そして、更に明らかになる、ハンターの出生のヒミツ。
彼女が、幼い頃から心に大きな傷を負っている事が、見る側に伝えられるのである。
更に、施設に入れられる事を拒んだハンターに対し、電話越しに言い放ったリッチーの言葉。彼の愛していた筈の、妻ハンターに対する本音が出たシーンである。ー
<ハンターは、彼女の周囲の”異物”を自分の身体に収める事で、自我を保とうとしたのだ。
”異物”達から自由になったハンターは、徐々に強迫性障害による、”異食症”を克服し、新たな人生をお腹の子供と共に歩んでいく事を願いたい、と思った作品である。>
MINAMATAへのコメントありがとうございます。
ジョニー・デップの主演・・・
私がMINAMATAを観た理由はそれでした。
私のようなミーハーな人も実はは多かったのでは?
裁判で決着が付いたようですので、アメリカで公開されると良いですね。
この映画ではじめてヘイリー・ベネットの存在に気付きました。
その後に「シラノ」を観て、一見平凡に見えますが、実力者の女優さんだと
今では次回作が楽しみです。
とてもユニークなテーマの映画でしたが、ハンターの孤独と
自立への過程が迫ってきました。