劇場公開日 2021年1月1日

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「【彼女が様々な”異物”を飲み込んだ理由・・。】」Swallow スワロウ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【彼女が様々な”異物”を飲み込んだ理由・・。】

2021年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

知的

難しい

ー 序盤のハンター(ヘイリー・ベネット)と夫リッチーの夕食のシーン。リッチーは妻の問いかけにもうわの空でスマホでメールをしている。
  ガラス越しに、映し出された二人の夕食風景の寒々しい事・・。ー

■ハンターの周りの、様々な”異物”
 ・裕福な両親に育てられたリッチー。
 一見、妻であるハンターを愛しているように見えるが、彼の言動を見ていれば、その愛情は薄っぺらい表面的な事が良く分かる。

 ・リッチーの両親。夕餉で、ハンターの言葉を遮り自分の事を喋る父親。ハンターに事前連絡なく、妊娠したハンターに”私も妊娠した時に読んだの・・”と本を押し付けて、さっさと帰る母親の姿。
 ー リッチーの両親は、ハンターを”孫を産む存在”としか見ていない。
   ふと、『83年生まれ キム・ジヨン』を思い出す。
   人間は、自己の存在意義を認められないと、精神に異常を来すことがあるのであろう。ー

 ・ハンターの母親。そして、愚かしき”実の”父親。
 ー あろうことか、リッチーはハンターの”異食症”を”悪意なく”周囲に言い触らしていた事が分かるシーン。
 そして、更に明らかになる、ハンターの出生のヒミツ。
 彼女が、幼い頃から心に大きな傷を負っている事が、見る側に伝えられるのである。
 更に、施設に入れられる事を拒んだハンターに対し、電話越しに言い放ったリッチーの言葉。彼の愛していた筈の、妻ハンターに対する本音が出たシーンである。ー

<ハンターは、彼女の周囲の”異物”を自分の身体に収める事で、自我を保とうとしたのだ。
 ”異物”達から自由になったハンターは、徐々に強迫性障害による、”異食症”を克服し、新たな人生をお腹の子供と共に歩んでいく事を願いたい、と思った作品である。>

NOBU
琥珀糖さんのコメント
2022年8月10日

MINAMATAへのコメントありがとうございます。
ジョニー・デップの主演・・・
私がMINAMATAを観た理由はそれでした。
私のようなミーハーな人も実はは多かったのでは?
裁判で決着が付いたようですので、アメリカで公開されると良いですね。

この映画ではじめてヘイリー・ベネットの存在に気付きました。
その後に「シラノ」を観て、一見平凡に見えますが、実力者の女優さんだと
今では次回作が楽しみです。
とてもユニークなテーマの映画でしたが、ハンターの孤独と
自立への過程が迫ってきました。

琥珀糖