劇場公開日 2021年1月1日

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「家父長制の恐怖」Swallow スワロウ せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0家父長制の恐怖

2021年1月11日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

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金持ちの家に嫁いで何不自由なく幸せに暮らしてそうに見えるが夫や夫の家族に蔑ろにされている孤独な妻が、異物を飲み込むことで満足感を満たしていく話。
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おそらく「異物を飲み込む女性」というのは、抑圧され声を上げることができない女性たちのこと。だから、主人公が抑圧されればされるほどより危険で大きなものを飲み込んでいく。
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主人公は飲み込んでその後、出てきたものをコレクションとして並べていて、その中に天使の置物みたいなやつ置いてあってどう考えても飲み込めないし、腸通らないし、出せない形であれが気になった(笑).
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割と『透明人間』と雰囲気が似てるところもあって、女性にとって有害な男らしさや家父長制がいかに恐怖で精神に重くのしかかるのかがよく分かる。
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私の父親もたまに怒ると、誰が稼いでると思ってるんだって言う人だったので、それ言われると何も言い返せないんだよね普通に。今なら勉強してそれに言い返せる知識があるけど、当時は何も言えなかった自分を思い出すと主人公と重なった。
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私が一番腹立ったのは、主人公が整えたネクタイにシワができちゃってて、旦那さんが着ようとしてたコーディネートができなくてイラついてたシーンは、いやマジでお前が自分でやれよと思ったね(笑)次の日着たい服ぐらい自分で準備しとけ。
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最後主人公が女性トイレから出ていって終わるんだけど、エンドロール中、他の人が出入りするのをずっと映してる。トイレ=排泄する場所にたくさんの女性たちが映る様子は、女性たちが今まで飲み込んできた声なき声が聞こえてくるような感じがしてよかった。

せつこん