「私にも心当たりが…」Swallow スワロウ JJJJJさんの映画レビュー(感想・評価)
私にも心当たりが…
最近、若草物語や燃ゆる女の肖像等、女性の尊厳を訴える映画をよく目にするようになった。本作はそのメッセージをどの作品よりも強く感じた。
その要因は物語のエンディングとそれに続くエンドロールにある。私はあの画を見ながら社会が女性をどう位置付けてきたのかをぼんやりと考えていた。慰安婦のような歴史的問題からセクハラのような身近な問題。政治やビジネスにおいても女性が弱い立場にあるのは客観的事実であり、その空気も容易に想像できる。
…こうやって書いていると自分はあたかも女性尊厳について理解があるのだと錯覚してしまうが、実態はどうだろう?正直、相手の事を考えない自分本位な(=男性本位な)恋愛やセックスをした心当たりはある。当時は自覚がなかったが、本作を見た後だと自分を疑ってしまう。劇中のリッチーも典型的な気付いてない人であるが、彼の場合環境がその拍車を掛けていて気の毒でもある。私は今一度女性との接し方を見直したいと思ったし、当たり前とされている価値観を疑いながら自分の感じることに忠実でありたいと思った。
本作はメッセージ性はさることながら演出面も非常に秀逸であった。物語の展開はサスペンスでありながらわかりやすく、結末の清々しさは予想していなかった。画面構築もハンターの情緒を映し出す鮮やかな色彩や意味深なカメラワーク等、全体を通して製作者の意図を汲み取りやすかった。
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