「甘じょっぱい人間ドラマに心が満たされる、先生との思い出に泣き笑い」浜の朝日の嘘つきどもと たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
甘じょっぱい人間ドラマに心が満たされる、先生との思い出に泣き笑い
公開前に川越スカラ座でかかることが決まっていたので、そこで待ちに待っての鑑賞。深々語るのをやめたくなった程シンプルに好き。
スカラ座みたいな単館だと感じていた朝日座。そしたら幾つかのシーンでスカラ座も出てきた。そういうのも嬉しかったし、「映画が好き」というベクトルに対しての向き合う視点も重層的で良かった。映画で救われる気がするけど、実際そんな風に生きているのも少数派だったりする。また、ミニシアターを残すという使命感があったところで、平日は空いていて採算が取れないなんて話も聞く。そう続けていくのも簡単じゃない。
タイトルの「嘘つきどもと」という言葉のあやが次第にしっくり来る。浜野あさひが嘘をついていることもそうだし、その見え透いたモノを否定しない森田だってそう。そういう意味では、皆どこか隠しているけど、そこを見なくてもいい時間が映画にはあるんじゃないかと思う。
先生との思い出に笑い泣き。大久保佳代子が断然すごいんだけど、そういうユーモアが会話の中に詰まっていて凄くたまらなかった。恩人との話って意外と屈託ないものだったりして、思い出すにも恥ずかしいようなモノだったりするのかも。
野菜やお米を作れるような生活インフラじゃないし、煎餅みたいにお腹は膨れない。だけど甘じょっぱい人間ドラマは心をグッと満たしてくれる。それぞれの境遇があっても、そう。
あんまり多くを語っちゃうといつもと変わらないからこの辺で。あなたの「好き」はきっと逃げないし綺麗事じゃないかもしれない。でも、好きに夢中になって追えるその瞬間はかけがけないはず。いい時間だったなー。そんな事を思いながら、次の映画へと足を運ぶ。