「半分暗闇のその向こうへ。」浜の朝日の嘘つきどもと はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
半分暗闇のその向こうへ。
震災、そしてコロナ。行き場を失う人々と朽ちてゆく歴史。福島県南相馬市に実在する老舗映画館ASAHI座を舞台に日本が抱える様々な問題を投影した1本。
タイトルにトリックがあって開始早々に唸りました。そしてとにかく大久保佳代子がめちゃくちゃいい!イメージそのままで粗雑に見えて実は情に厚い田中先生を好演。まさか大久保さんに泣かされる日がくるとは!
「映画館では映画しか観れない」って台詞が衝撃だった。そんなこと考えたこともなかった。逆に映画を観る以外にやることがあるのか。これからは付加価値を付けないと存続できないのだろうか。先日映画館でのマナーについての街頭インタビューで「我慢できないから上映中もスマホOKにして欲しい」と答えてた人がいて思わず、アカンやろ!勘弁してくれ!とテレビにつっこんだけど、つまりはそういう事なんだろうか。それがまかり通れば映画好きには絶望しかないな。でも映画が好きな人だけでは支えられないというのも事実。
何かあった時も何もなかった時も映画館は私の受け皿だった。喧嘩したあと泣きながら電車に乗ってレイトショーに駆け込んだこともあったな。知らない人達と一緒に半分暗闇のその向こうへ。映画館でしか体験できないことはある。だからこれからも大切なその場所へ足を運ぼうと思う。残像現象に救われる大勢の根暗達の1人として。
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