劇場公開日 2021年2月11日

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「気楽に、ただ楽しみましょう、映画を。」マーメイド・イン・パリ バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0気楽に、ただ楽しみましょう、映画を。

2021年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

なんだかとても安っぽい言い方なんですが・・・(笑)
「ポップでキュートなファンタジー」としか言いようがないのです。楽しく、可愛らしい作品です。
難しいことは考えずに、ただただ楽しんで観て欲しい作品です。

人魚姫が現代に現れたら・・・ってお話です。
舞台は現代(?)のパリですが、時代設定は不明瞭です。その辺りがもうファンタジーです。
古のヴォードビル風な雰囲気のBarが出てきたり、アーティストでもある監督さんの哲学にのっとるようなパフォーマー(サプライザー)・・・「サプライザー(Surpriser)”とは、大いなる想像力を持つ者たち。人々を驚かせ、その世界を変える者」・・・がメインキャストなところも、ちょいと知っているようで見たこともないようなフランスを見ている気分になります。

ファンタジーっす。改めて。
けど、それがいいのです。

設定がもういいですよね。このヒネリが。
人魚の歌を聴いたら(恋したら)死んじゃう、けど仲良く世話するのは恋する心がなくなっている男。
あーー、もうっ!って感じのゆっくりじわじわと紡がれる淡い、それはそれはアワーーーーイ(甘いじゃないんです)恋物語が、歳を重ね殺伐としている僕の心にシュッシュッと霧吹きで水をかけるが如く潤わせてくれるのです。

でもって、人魚が・・・まぁチャーミング!その大きな瞳で「私、殺しちゃうの」って言われてぇなぁ!(笑)
いかん、これは・・・好きになっちゃうパターンだ!
ってな具合です。キーとなる隣人もチャーミング!あの気の毒な医師は・・・もうちょっとなんとかしてあげられなかったのか?と思うけど・・・全体を通して、「よし!」です。

お伽話なんで、色々と細かい不整合は目を瞑ります。見なかったこと、聞かなかったことにします。
そんなの言い出したら、ムーミンはなぜ二足歩行できるの?なんてことまで言及しなくてはならなくなるからです。はい。

しっかり作られて、しっかり演じられて、ちゃんと作品として成立しているこの現代のお伽話を観て、コロナ禍で大変な日々に少しでも潤いが得られればと思います。
水がないと・・・人魚は辛いのです。

あ、言い忘れ・・・キスシーン、とっても綺麗です。
秀作です!

バリカタ