声優夫婦の甘くない生活のレビュー・感想・評価
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男は誇りを捨てられず、女は生を優先する
なんとなぁくおもしろそうな雰囲気だったので鑑賞。
あまり期待していなかったけど、ほっこりと
心に染み入る物語でした。殺伐することもなく。
なるほどなるほど、そーいうお話だったか。
結局男性はどうにも捨てられないプライドと、
女心をわかったふりして「君のことを考えているんだ」と言い続け、
最悪を突きつけられた時に(懸命な男性は)気づくんですね。
そりゃぁ、いくら頑張って添い遂げようとしてる女性でも愛想つかしますね。
男性なんて結局、やりたいことやってるに過ぎませんから。
そして女性はやはり、強い。
生きるためにすべきことをする。そして、今置かれている状況で生を謳歌する。
かなりアグレッシブな女性ですが、そりゃぁ夢を見たくなるほど新生活は
刺激的だったんでしょうね。攻めるとその分の見返りもあるのが人生ですが・・。
結局は誰かが我慢している限り、他人同志の関係はなんらかのヒビが入っちゃうんですねぇ。
なんとも、悲しい話ですね。良かれと思ってるんですが。。。。夫婦って難しい。
で、この作品。
その二人の人生の「映画」がまた取り持ってくれるってあたりがなかなかイカしてます。
戦争の匂いを感じさせる背景の中でのドラマですが、なかなか軽やかにシニア夫婦の
何回目かの恋を粋に見せてくれる良作です。
フェリーニ愛 映画愛
初めて知りました。フェリーニの81/2が当初ソビエトで上映禁止だったことを。私もそういう国で生まれたら色んな映画体験ができないってこと?それはそれは死活問題です。
私は映画は字幕で鑑賞する派ですが、吹替で鑑賞する場合も大いにありますよね。例えば目が見えなくなったり、老いた時など。考えたことがなかったのですが、そうなったら声優の技術ってめちゃくちゃ大事。ただ模倣するだけでは駄目な気がするし、ラヤさんの幅広の技術も凄いものがありましたね。
基本的に日本人は変化を嫌い移動をしない民族ですが、ユダヤ人の移動をするガッツには頭が下がります。勿論そこには政治情勢、社会情勢の影響があるからなのですが、それにしても凄い。私も日本を出る目論見があるので、まだまだやれそうじゃないと声優夫婦から元気を貰いました。スターリン体制も国家解体も毒ガスマスクも生きてたら色々ありますよね(普通はないか)。
知的であり、シュール。欧州映画好きな方には、特に鑑賞して欲しい作品です。
誇りっぽい夫とチャーミングな妻
自尊心は大事だけれど、過去の立派な履歴書はリセットして、新たな土地でやっていこうという意気込みでイスラエルに移住した?のかなぁ…
リセットできない夫、誇りが邪魔してイヤな人になりかける。
チャーミングで秘密の仕事に頑張る、根は真面目な妻、彼女らしいイタイ勘違い。
映画愛ですね。
映画愛を感じました
1990年、ソ連からイスラエルへ移民したヴィクトルとラヤはヨーロッパやハリウッド映画をソ連で吹き替えするベテラン声優夫婦。
生活の為にイスラエルで仕事を探すが妻は夫には電話の営業と伝えて実はテレフォンセックスで定職に、夫は海賊版レンタルビデオの吹き替えで何とか威厳を保つ。
ユーモアのある笑えるシーンも多々ありますが、真剣に生きる老夫婦の姿がいじらしいです。
妻が内緒でテレフォンセックスの客と海辺で待ち合わせして遠くから眺めるシーンが個人的には興味深かったです。
世界各国でも変わらない映画愛が伝わってきます。
年配夫婦と声優志望の方にはぜひ見てもらいたい作品です。
イスラエルの岸田今日子さんがかわいらしい
はじめてのイスラエル映画でした。
旧ソ連が崩壊したニュースは、当時、連日テレビで報道され、ロシア語を耳にしたものです。
でもたくさんのユダヤ人が旧ソ連に住んでいたことは知らなかったし、またたくさんのユダヤ人が旧ソ連を出て、イスラエルを目指したことも知りませんでした。
世間の世知辛さ、妻の気持ちがわからない不器用な夫、夫婦のすれ違い、移民問題など普遍的なテーマをくすっと笑わせるユーモアを交えて綴っています。
さまざまなエピソードが折り重なって、かめばかむほど味わい深い佳作になっています。
将来、また観ると思います。
ブルーグリーンの使われ方が印象的でした。
普遍的な事と移民独特、それぞれの苦しみ
夫婦ってものは、お互い我慢してたら破綻して、常に本音で言いあってないといかんね!
& 夫婦で同じ仕事しているからって、同じ目標を持っているわけではないから、強制したらあかん!
という普遍的教訓とともに、移民の悲しみや苦しみも。
言葉の壁や、文化の違いは大変よね、と。
ところどころ人情噺にもなっていて。
それを、フセインのイスラエルへのスカッド攻撃を交えて、コミカルな喜劇にまとめた手腕がすごかった。
2つのキスシーンがあるんですけど、このそれぞれの意味合いの違いが面白かった。
ラストのキスシーンは、妙に艶(なま)めかしく、胸に沁みました。
自分が歳を取ったからかもしれません。
#113 欲しいものとは
何かを探す人間の物語。
ユダヤ人として生きるためにソ連からイスラエルに来たけど、欲しい物は手に入らない。
声だけ聞いて理想とする女性に会いに来た男が主役の2人の気持ちを象徴している。
全体的に静かなせいか、またまた寝てしまった。最近静かな映画はすぐ寝ちゃうのがたまにキズ😡
映画好きなら
吹き替え俳優の中年夫婦、ロシアからイスラエルへの移民、才能を活かしてのテレフォンセックスのバイトや海賊版ビデオ作りなどなど、題材的に楽しめる。ほろ苦い大人の映画で、中年既婚者ならいろいろ思うところあり。
熊男ダンナと可愛いラヤ
言葉ができない土地に行って、生活する、仕事するってなんて大変なんだろう!ユダヤの人達は大昔からそうやって生きてきた。
湾岸戦争勃発で1991年のヨーロッパ行きをやめたので、その頃の情勢はよく覚えている。でもベルリンの壁とソ連が崩壊して、ソ連の多くのユダヤ人がイスラエルに移住したというのは知らなかった。
私は吹き替えより字幕が好きだけど、黄金の声の声優が映画に命を与えたという箇所には、ぐっときた。表音文字の国では、字幕で映画見るのはかなりきつい。だからこそ声優の役割はとても大きいと思った。
香水を売るのは洋服を売るのとは訳が違う。お客様の好みと人生を把握して、自分の言葉が命。そして、想像力と創造力と妄想力が求められる。その上、この映画の香水売りは声だけで勝負しなければならない!ラヤは柔軟で好奇心旺盛で生活力もあって素晴らしい。もともとあった能力が開花したし!ダンナは「昔」や「俺の仕事」にこだわっている。悪気はないがあまりに不器用ではないでしょうか!声だけですぐに妻と分かったのは職業上とはいえ、その声に惚れたからでしょ!なら笑顔で妻と楽しく会話しましょうね。
地中海に面するイスラエルはヨーロッパの人達のリゾート地で、温暖で果物も食事も美味しいらしい。二人が肩を並べて散歩してたのは、ヤシの木の並木道だった。行きたいな、イスラエル。
男と女はすれ違い〜♪
環境の変化に対して、年齢を重ねるほど男性より女性のほうが順応性があるという典型
妻役の女優が岸田今日子に似た感じで、可愛らしくもあり色気もどんどん増してくる
設定が素晴らしい大人の恋愛映画
ラストの映画館のシーンも笑いを交えており最高!
人生は甘じょっぱい位が丁度いい!
予告編でお茶目な笑いを引き出してくれただけに期待感が高かった
第2の人生に誰もが甘い期待と希望を持っているだろう
イスラエルに移住した主人公、スター声優夫婦も同じ思いだったはず…
が、新天地ではどうにも仕事が見つからず
お互い法に触れてしまう怪しい仕事につく
だが、どうしたものか妻が隠れた才能を発揮してイキイキとして行く所や、ちょいとした恋のトキメキにまで…
声だけで無く心まで乙女に見える妻がなんともチャーミング!
そんな妻をぶっきらぼうで表現下手な夫は心配でたまらない…熟年夫婦の新たな人生がお互いの感情と誇りと共にぶつかり合い再び強い絆で結ばれて行く
心に柔らかく触れるコメディ
名匠フェリーニにへのオマージュを最大、最高に捧げている監督の映画愛も箇所箇所から伝わる
いずれ訪れる第2の人生
「もう歳だから💦」と
軽く口にする様な歳の重ね方をしたくないっ!
と自分に言い聞かせたくなる入り口が見つかったかな😊
【8 1/2】
フェリーニの「8 1/2」には現実逃避が描かれる。
ラヤのテレフォンセックスの仕事を現実逃避になぞらえて、これを引用したのだろうか。
それとも、ノスタルジーを呼び起こそうとしたのだろうか。
まあ、両方かもしれない。
少なくとも、ラヤは仕事にやりがいを感じ、電話相手に夢見心地の時間を与えているという自己満足もあった。
しかし、電話の相手は、自分の作った声に恋し、現実の自分と声をマヤのものとは看做さない。
相手の空想が、現実を受け入れられないこともある。
自分が全てをコントロールしているわけではないのだ。
それこそが現実なのだ。
なかなか、自分の殻から抜け出そうとしないヴィクトル。
だが、引用された「8 1/2」は、もう一つの重要なことを指し示していると思う。
このタイトルの理由だ。
フェリーニ、8番目の作品にして、共同制作の作品。
1/2は、共同制作という意味なのだ。
おそらく長く連れ添った夫婦は、あれこれ波風が立つことがあっても共同作業を続けて来たのだ。
変わろうとするヴィクトル。
ソ連東欧の社会主義が崩壊して、イスラエルに亡命したソ連のユダヤ人は、現実逃避をしたわけではあるまい。
イスラエルで、大変な思いをしながら生活していたのだ。
おそらく、支え合いながら。
新しい門出
鉄のカーテンが消滅した翌年の1990年9月、ソ連からイスラエルに移住した声優夫婦が仕事を巡りすれ違って行く話。
イスラエルの映画事情により声優の仕事が見つからず、たまたま見つけた新聞の広告から、62歳の嫁が香水売りの仕事に就いたことで巻き起こって行くストーリー。
声優の仕事にプライドをみせながら、ちょっとズレた偏屈親父な旦那と、最初は拒みつつもノリノリになっていく嫁。
ド真面目とまでは言わないけれど、二人ともちょっと真面目が故のズレが生む笑いを織り交ぜながらみせる、嫉妬や呆れと馴れ合いの物語で、大きな盛り上がりはないけれど中々面白かった。
もう~結局ね~w
で、スイッチは…(´・ω・`)ww
映画を愛した夫婦が、映画に愛される物語
様々なテーマが詰まっているので、いろんな切り口から語れる映画でした。
男と女の違いだったり、夫婦像の固定概念だったり、移民問題だったり…
それぞれ一晩中語れる勢いです!(*゚∀゚*)
そんななかで私が最も注目したのは、声優であるヴィクトルが役者に転職出来ないところ。
長くなりますが
活動弁士が衰退した後、日本では洋画を字幕で観る文化が定着していた為、俳優業だけでは食えない人が副業で声の仕事に流れた経緯があり…(実際レジェンドと呼ばれるような人の中には「声優」と呼ばれるのを嫌った方もいます。)
その後、海外ドラマや洋画のテレビ放送が増え、ジャパニメーションの発展と共に「声優」の認知度が上がり、今ではむしろ憧れの職業ですけどね。
なので、私の中では「俳優」も「声優」も“演じる”という基本は同じで、声の表現とテクニックを使ってお芝居する人が「声優」という認識でした。
だから俳優に転向できないヴィクトルに驚き
「同じ声優でも、“吹き替え声優”はアプローチが違ったんだ〜!」と気づきました。
「声優」と一括りに思っていましたが、お仕事としては大きく二つに分かれていて
アニメなどに命を吹き込むアフレコと、既に完成している作品の魅力を伝えるアテレコ。(=吹き替え)
もちろん一概には言えませんが、イメージとしては
アフレコがゼロから肉づけていくクリエイティブな作業だとすると、
アテレコは作品を理解して意図に沿うよう表現する…どちらかと言えば職人的な作業のように感じます。
ヴィクトルは自分自身が「吹き替え声優」だという事を誰よりも良くわかっていたし、
映画という豊かな世界を観客に届ける「吹き替え声優」という職業に誇りを持っていた。
そう。映画は観客に届いてこそ映画だし、むしろ観客が観ることで初めて映画として完成する。
私達は映画を自分で選んで見ている気になっていますが、映画が観客の前に並ぶまでには、配給会社や興業主はもちろん、様々な人たちが関わっている。
そんな作り手と受け手の中間に位置する人達のなかには、映画の魅力の虜となって「商売度返しでも観客に届けたい!」という使命感で携わる“映画のしもべ”も数多くいる。
ヴィクトルは間違いなく映画を愛する映画の奉仕者だった。
妻への愛を拗らせたときに観る『ボイス・オブ・ムーン』のワンシーン。
映画への無償の愛が、映画からの愛に救われる瞬間でした。
そういった意味で言うと、妻のラヤはアフレコも出来る「声優」だったと思えます。
持ち前の順応力と適応力でゼロから居場所を作っていけるし、電話のお仕事でも相手に合わせたアドリブでゼロから役を作っていける。
自分の声を得たラヤは、ロシア時代には無かったであろう、自分自身の自由な表現に目覚めていくけれど…
やはりラヤも、映画への敬意が人生のターニングポイントとなる。
映画を愛した夫婦が映画に愛される映画でした。(*´ー`*)
ネタバレなしのレビューを心がけていますが、一つのシーンのちょっとしたカットに、それぞれの立場からの心理が描かれていて、その積み重ねが本当に素晴らしい!
(だから、いろんな角度から語りたくなるのですが…)
具体的に挙げるとキリが無いので、2つだけ紹介させていただきたい!
まずはネタバレの影響が少ない、ファーストシーン
ロシアからの移民達を乗せた飛行機のタラップから降りる、この短いシーンただけで
ヴィクトルの亭主関白ぶり、ロシアでの特権階級ぶり、そして「自分よりも妻を優先して大切に扱っている」と思っている節がうかがえます。
逆に妻のラヤは、今の自分達の立場を敏感に感じ取りながらも、この場を早く収める為に従順に笑顔を作る。
これまでの夫婦関係と、これからの夫婦関係のズレの始まりが見事に表現されています。
二つ目は慣れない仕事で痛めたヴィクトルの足をラヤが癒すシーン。
カメラが見下ろすアングルで描く“献身的なラヤ”はヴィクトルを思う愛情から、この仕事はしないで欲しいと頼むが、それは暗に「こんなのはあなたの仕事では無い」と言われたようなもので、見上げられているヴィクトル側は「家長として威厳あるヴィクトルでいて欲しい」といったプレッシャーを感じる。
そもそもロシアとの待遇の違いでプライドが傷つけられている上に、経済的な主導権交代の焦りから、益々相手を見る余裕が無くなって負のループにハマっていく…これまた見事なシーンでした。
異国でのゼロからのスタートには、夫婦の愛情や信頼が頼りなのに、
「常に夫は妻を守らなければならない。」→「妻よりも上の立場でなくてはいけない。」といった固定概念に縛られて、本当に彼女が求めている事が見えなくなっていく。
愛あるが故のすれ違いが辛いですが、悪気が無くてもトンチンカンな愛は、やっぱり押しつけの自己満足でしかない。
お互いを見つめる事が大事ってことですねd( ̄  ̄)
あと、書いておきたいのは、なんと言ってもフェリーニの素晴らしさ!
『ボイス・オブ・ムーン』公開当時、張り切って日比谷シャンテへ観に行き
「なんか、よーわからんけど、とにかく愛だな。」なんて生意気にも思ったものでした。
今の自分が見直したら、全く違う映画に見えてくるかも?
同じ映画でも、観る人の人生によってそれぞれ響くポイントが違ってくるのも映画の味わい深いところですよね。
若い頃には響いてこなかった部分がわかるようになったり。雪国で育った人はそんな景色だけで胸に去来するものがあったり。
結局、観客は映画を通して今の自分を見つめ直しているのではないでしょうか?
2018年『運命は踊る』2019年『テルアビブ・オン・ファイア』2020年『声優夫婦の甘くない生活』イスラエル映画から目が離せませんな〜(*´∀`*)
素晴らしい映画との出会いに感謝したくなる映画でした。
ビタースイート!
コンパクトながら、イスラエルの海辺やノスタルジックな映画館などでの印象的なシーンが沢山ありました。熟年夫婦の物語なので、さらりと流れる様なストーリーがさりげなく切なく、大人っぽくて素敵でした。正に「ビタースイート」!
現実は甘くない!
11/22(日) いい夫婦の日
試写会にて鑑賞。
第二の人生を謳歌しようとソ連からイスラエルに移住した、映画吹替えのスター声優夫婦のブラックユーモアと映画愛に溢れた悲喜こもごも。
甘くない現実に直面した夫婦が見つけたものとは…。
夫婦の生活と愛情の行方にハラハラどきどきして、映画好きにはたまらないエピソードにはニヤニヤしてしまった。
いい夫婦の日の試写会ということで、上映後に声優の古川登志夫さん&柿沼紫乃さんご夫婦のトークがあり、声優夫婦ならではのエピソードが聞けて楽しかった。
お二方ともお茶目でキュート。
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