「色々な見方ができる映画かな。上映館は少ないけど、今週は対抗以上。」林檎とポラロイド yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
色々な見方ができる映画かな。上映館は少ないけど、今週は対抗以上。
今年67本目(合計340本目/今月(2022年3月度)9本目)。
★ 「ポラロイド」とは、1930年代にできた、今のデジタルカメラの前身となるような非常に超初期のころのカメラ(インスタントカメラ一般)をさす名詞のことです。
記憶喪失になった男性が、記憶を取り戻すのをやめて、むしろ新しい人生経験をしていく中で色々な方と関わっていく、という趣旨の映画。
「ポラロイド」(カメラ)は映画内でも利用方法は指示され、確かに今の日本ではほぼほぼ見ることはないですが、デジタルカメラ自体はあるので、推測は十分きく範囲です。
むしろ難しいのは「リンゴ」のほうで、「なぜに林檎なのか」、また、映画内では色々な林檎(色のこと。いわゆるブラッド系の色から、緑色に近い林檎まで、色々出ます)が出ます。林檎「それ自体」は、映画からある程度推測ができますが(人体の中で、MRIややレントゲンを撮ったとき、林檎のように見える場所は、どこでしょう?)、「色が何を意味するのか」はこれはなかなか難しいかな…という印象です(パンフレット購入前提?)。
また、この映画、見ていただくとわかりますが、実は時代背景が不明です。時代背景を推測するには、今でいえばスマホだのパソコンだのがあることから推測ができますが、これが推測できるものが「一切」登場しないので、いつの時代の話かも難しいです。逆に言えば、こういう「実験」は実際には倫理上できないので、「時代背景をぼかした、架空の世界の架空の実験」という見方、それがおそらく正しいのではないか…と思えます。
今週(11日の週)はどうしても、バットマンが超本命枠できて、対抗がサメの映画(名前忘れた…)というところですが、本映画も対抗以上にはなると思います(不穏当な表現・描写などありません)。ただ、おそらく大人の方(文系理系問わない。そもそも文系理系がどうこうという分類にできない。あえていえば、両方同時に求められている印象)が見て、やっと「そういう趣旨か」とはわかっても、小さい子には難しいかな…という印象です。
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(加点2.0) なかなか、特にギリシャ映画といった作品は元が取りにくい(そもそも、放映される映画館自体が少ない)中で、作られたこと、放映されたこと、また、ツイッター公式アカウントなどの情報発信が非常に丁寧な点は好感が持てますし、映画は「7番目の芸術」と言われるように、この「わかりにくい」映画を通じて「何を言わんとしているのか」を当てに行くというのも、また一つの考え方かな、と思います。
(減点0.4) ただ、やはり「リンゴ」「リンゴの色」が指す意味は本当にわかりにくいです。「リンゴ」が指すものが何かはだいたい想定ができますが「色まで」になると、ギリシャ文化(慣習・一般常識等)が前提にあるのかもしれません。ここまで来ると日本では情報収集がしづらいので、ここは何らか補足があっても良かったのでは…とも思えます。
(減点なし/参考) リンゴ・ブドウなど、一部の果物では「パツリン」というカビ毒が発生します(日本では、果汁で毒性が増すとされるため、リンゴジュースでは規制があります)。一方、「オレンジ」では発生しません(マイコトキシンの性質による)。そして「オレンジ」もこの映画の中ではちらっとだけ登場します。
このことも何らかのことを示唆するのでしょうか…(詳細不明)?