劇場公開日 2020年10月16日

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「過去と未来が交錯した先で彼が見出したもの」ウッドランド 徒然なるままにさんの映画レビュー(感想・評価)

過去と未来が交錯した先で彼が見出したもの

2023年5月5日
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まず1番の疑問点であるハイダグワイにおける伝説について考察します。これは、物語の核心を突く最も重要な部分だと思われます。劇中では明言されていませんが話を見る限り、先に起こる事が写真に映るという一種の未来予知の様なものだと分かります。ジェイクが撮った写真の中には明らかに現実ではありえない幻覚の様なものもありますが、例え幻覚の様なものであったとしても彼が実際に体験しているという限りでは現実である訳で、現実と幻覚の場面を厳密に区分するのは重要ではないと思われます。この物語では、ジェイクが写真を撮って場面が移り変わるの繰り返しで話が進んで行きます。そのため未来が見えることには重要な意図が隠されている事が分かります。最後の方でジェイクとスパーキーがそれぞれの過去を告白しています。2人からは過去に対する後悔の念が伺えます。ここで考えたいのが、戻らない過去の出来事に後悔し続けている人間の思考です。一般的に後悔というものを考えてみると、あの時そんな事するんじゃなかった等枚挙にいとまがありません。後悔というのは過去に起きた出来事に対しての否定に他なりません。その過去の出来事が起こるのを避ける方法はなかったのかと考えて見ると、一つの方法が見出されます。それは起こる未来が前もって見えているということ。そうすれば最悪の結末を避けるように人は行動するでしょう。これこそが未来が見える事の証左だと思われます。この物語における未来が見えるというハイダグワイの伝説はそこに訪れる人間の後悔の思考(仕方)と密接に関わっているように思います。他にも疑問点があると思いますが、ここを出発点とすればだいたい説明がつきます。疲れたので全部を書くのは割愛しますが最後に一つだけ。ジェイクが熊に襲われる場面で最後にアナが笑っているシーンがありました。私には微笑んでいるように見えました。ジェイクが死ぬことでバッドエンドと捉える人もいるかもしれませんが、私は最終的にジェイクは死ぬ事で救われたのだと感じました。劇中でジェイクは自殺することばかり考えていると言っていました。しかし、自殺しなかったのは心残りがあったからだと思います。
みなさんも自分なりの解釈を頑張ってしてみてください。

徒然なるままに