配信開始日 2021年11月25日

「ザ・ビートルズも一介のロックバンドだった」ザ・ビートルズ Get Back regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ザ・ビートルズも一介のロックバンドだった

2021年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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『レット・イット・ビー』では作曲活動以外ほとんど会話のなかった4人が、他愛もない日常会話を交わす。それも1回だけでなく何回も。
思うように作曲活動が進まず苛立つポールを、「君が喜ぶことなら何だってする」となだめていたジョージが数日後に脱退。ジョンも「ビートルズはただの仕事になっちまった」とつぶやく。メンバーの中では口数が少ないリンゴだが、「ビートルズは常に最高でいなければならない存在なんだ」と力説する監督のマイケル・リンゼイ=ホッグに「そんなの思い込みだ。僕らは結構無愛想だぜ」と返す。
おそらく全世界のバンドがぶち当たるだろう壁に、彼らもぶち当たっていた。世界最高のロックバンドと称されるザ・ビートルズだって悩める人間の集合体であり、一介のバンドに過ぎなかった、本作ではそれが生々しく映し出されている。
確かに1969年当時の4人はいろいろ問題を抱えていたし、ゲット・バック・プロジェクトをもってしても解散は避けられなかったのは、歴史的事実が証明している。
ただ、彼らの喜怒哀楽が作曲活動の源になっていることもハッキリと映る。「ゲット・バック」、「レット・イット・ビー」などの名曲が生まれる瞬間に立ち会える喜びがある。
オタク監督ピーター・ジャクソンらしく、観る者に分かりやすくするよう、補足映像を入れる構成も際立つ(『ジョン・レノンの僕の戦争』のシーンをサラリと入れてくるあたりなど)。
トータル約8時間の長尺が短く感じるほど濃密な、間違いなく究極のドキュメンタリー映画。

regency