「ファン垂涎のプロジェクトが遂に!」ザ・ビートルズ Get Back とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
ファン垂涎のプロジェクトが遂に!
Part 1 を見て…
もしあなたが3分間のポップミュージックの魔法を信じていなくて、そもそも何かを表現することや創作の過程・産みの苦しみにさして興味がなく、ビートルズのファンでもないなら、この作品はきっとあなたを退屈させるだろう。
「ぼくも仕切りたくない」グループ解散に向かっていくビートルズ後期にどうにかまとめ=繋ぎ止めようとリーダーシップを発揮したポール(ぼくの一番好きなビートルはポールです)は時に独裁者のように扱われてきたわけであって、それによりジョージは"Wah-Wah"と言われてストレスをためては何かと親友クラプトンを引き合いに出すし、ジョンのそばにはヨーコがいるし、リンゴはいつも通りひとり高い位置から合わせて叩いている。まるでポールが、いつからか個々の傑出した才能の塊になって一緒に音を鳴らす必要性も無くなってしまっていたグループのメンバーたちに、「あの頃に帰ろう/取り戻そうぜ!("Get back!")」って言ってるみたいで泣けた…。それに対してジョージが「きみを喜ばせるためだったら何だってする」みたいに言ってるのが、友情なんだけど求める姿・目的が違うというか、すれ違っていてこれまたつらくなってしまった。ちなみにジョージは「(メンバー各々のソロプロジェクトのようにバラバラさの際立った)ホワイト・アルバムが唯一真剣に取り組んだアルバムだ」とまで言う始末。心が離れている。
正直、一見さんが見たらきっと"何が面白いんだ"と思いかねない、そんな作品かもしれない。けど、それは裏を返せば、こんなに創作の過程を密着して克明に見せ続けてくれるなんて、なんて歓びだろうか!なんてスリリングな2時間半!
I'm in love for the first time~
雪と雨。子供の頃からアイコニックな出来事としてルーフトップコンサートの断片を見てきた人間として、ルーフトップコンサート全編楽しみ!全力感謝。
10/26
Part 2 を見て…
「もうビートルズはただの仕事になっちまった」
「もっと互いに仲良くなればいいんだよ」
「親密さが重要なんだ」相変わらず色んな曲を次々と演奏しては、くだらない話で笑いあったかと思うとビートルズの終わりを意識した真剣な話し合いも。そんな中、ポールも相変わらずみんなで一緒にやり楽しむことこそ大切なことで、計画通りに終わる必要はないという言葉を口にしている。
ということで、やっぱり当初のスケジュールは間に合うわけもなく、けどセッションは軌道に乗り始め形になっていく。ようこそアップル・スタジオへ!僕たちが長年聴いて慣れ親しんできた形になっていく、あの名曲たちが目の前で鳴らされては試行錯誤の末にできあがっていく。今夜のホストはローリング・ストーンズです。
「解散の理由がヨーコがアンプに座ってたからじゃ50年後に大笑いされるぞ」好きに弾いて「全員が別の方向に進んでる」指示する
10/27
50年余りの時を越えて世界中のビートルズファンからリスエストだ。30分で30件の苦情、3日で8時間弱。ビートルズファンにとってのサンクスギビングとクリスマスが終わってしまった。
Part 1 でスレ違ってブッ壊れて
Part 2 で歩み寄って暗中模索して
Part 3 で同じ曲ばっかり練習して同じ曲を何度も演る
LAST DAY
Written by Lennon/McCartney 今までも曲単位など所々見てきたはずなのに、今日のルーフトップ・コンサートはポールが楽しそうで泣けた。一種の諦めじゃないけど、今までの2パートの間ずっとメンバーに呼びかけていたことが、(当初望んでいた形とは違えど)もっと終わりが近いことを当人たちがきっとどこか意識する中で刹那的に叶っていってのを目の当たりにして。ジョンはいつもの調子、つまりどこまで本気か分からないような煙に巻くノリとユーモアのセンス。事実は小説より奇なりを地で行く感動のフィナーレ。最高なライブ復帰!映画より映画的、語弊を恐れずに言ってしまえばまるでフィクション。しっかりと葛藤や障壁・対立があって、プロジェクト自体も当初思い描いた形とは違うところに収まって・落ち着いていくところなんかもドラマチック。なにより彼らが登場人物として魅力的で。だから単純な事実の羅列として客観的に見られるようなものでなく、しっかりと"物語"になっていて、最後には思わず引きずってしまうような余韻が残った。まさしくAll things must pass.
全カメラ、テイクワン!遂にこの時が来てしまった…という感じだった。見たかったはずなのに来てほしくなかったその瞬間。同じさ、曲を録音するだけ。いい素材といい楽曲から最高の物語を紡いでみせた。ママが怒ってるぞ、警官に逮捕させるって!おやすみ。最高の出来だ、家に持って変えるとしよう。
命令なんて許さない「今は僕がプロデュースしてる気分だよ。僕には無理だ、強い個性を持った4人だよ」diverse people「でも全員が個々で活動できればいいと思うんだ」地球に平和を!規格外なことをやるため
The performance appears on the album "Let lt Be".