「純粋な「カメラ小僧」の生涯」ヘルムート・ニュートンと12人の女たち 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
純粋な「カメラ小僧」の生涯
エロティック、グロテスク、フェティッシュな作品とともに、作者ヘルムート·ニュートンの名前は強烈に印象に残っていた。
勝手なイメージとして、スノッブで上から目線の人物を想像していたが、こんなに純粋な「カメラ小僧」で愛すべき人物だったとは驚き。
しかも、ワイマール共和国のベルリンで生まれたユダヤ人で、カメラの師匠は収容所で殺され、自らも船で脱出し、シンガポールを経て、オーストラリアでキャリアをスタートさせる苦労人だったとは。
スーザン·ソンタグが語るように、一見「女性蔑視」に写る作品群が、シャーロット·ランプリングほかモデルとなった女性たちが語るように、女性の力強さ、自由、解放を、共犯関係のように創り上げたものであったことが、あらためて良くわかる。
それにしても、奥様のジューンも凄いね。二人でお互いを撮り合った作品群は、ユーモアがありつつ、壮絶。最期まで深く愛し合っていたことに感動する。
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