「オバケと旅行と科学とハグ(家族)と」アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行! 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
オバケと旅行と科学とハグ(家族)と
CGアニメ映画になって、♪ジャジャジャジャン!
不気味でユニークなオバケ家族が巻き起こす怪騒動を描いた第2作目。
今回の軸となるのは、長女ウェンズデー。
頭が良く、何事にも動じない超クールな性格と冷めた口調が時々可愛怖い。弟パグズリーの息の根を止めようとするのが日課。
かつての実写映画版ではクリスティナ・リッチが怪好演し、今年ティム・バートン監督で彼女を主人公にしたNetflixドラマも配信予定。
このオバケ家族の中でも一際インパクトと存在感あり。
そんな彼女、最近色々お悩みが…。
科学フェア。画期的な実験を発表したのに(脳ナシフェスター伯父さんと知能が高いタコのDNAを融合)、優勝したのは参加者全員。何故? 私の科学と愚か者どものお遊びが?
家族の中で自分だけ浮いていると、この所よく感じる。家族は愛してるけど、やたらと過剰な愛情を押し付けてくる父ゴメズが煩わしく、ぎくしゃく。食事の時も部屋にこもって姿を見せず、ハグも断固お断り。
心配したゴメズは、親睦を深める為家族全員でアメリカ横断旅行を企画。キャンピング・カーに乗って、いざ出発!
今回の見所の一つは、ここ。
お馴染みのオバケ屋敷を飛び出して、アメリカ各地の観光名所を巡る…いや、行く先々で珍騒動を起こす。
ナイアガラの滝ではカップルのプロポーズを邪魔し、グランド・キャニオンを大爆破。“アラモ”ではウェンズデーは美少女ショーに出演させられ…。
道中も家族と馴染めないウェンズデー。
やはり私だけ浮いている。
その理由が分かる時が。
ウェンズデーは、アダムス・ファミリーじゃない…!
赤ん坊の時、病院で取り違え。(その原因は…。フェスター伯父さん、コラ!)
ずっと感じてきた家族の中で浮いていた“イレギュラー”は、これ。
“普通の子”だったらショックを受けるが、ウェンズデーは利発的で現実的な子。
状況や真実を理解し、何より父の髪の毛とのDNA照合が不一致した事が決定的。全てを受け止めたウェンズデーは、アダムス・ファミリーに置き手紙で別れを告げ、ラーチを伴って“実父”の元へ…。
ゴメズらもこの事は知っていた。信じたくなかったが…。
道中追い掛けてくる二人組の男。旅を楽しみつつ、この二人組からも逃げていた。
二人組は実父からの回し者。その実父は、科学フェアでウェンズデーの才能を高く評価していた科学者、サイラス。
見た目も似てるし、今行ってる科学も同等の内容。何より、DNAが一致。
私は彼の娘。科学の子。
“娘”を取り戻そうとするアダムス・ファミリー。サイラスには何か、“裏”がある…。
前作ドタバタギャクの中に、アダムス・ファミリーと人間の関係も込め、メッセージ性もそれとなく。
今回は家族の絆を押し出し、よりファミリー色を強めているが、ドタバタやシュールな笑いが良くも悪くも濃くなり、クライマックスは“モンスター映画”(やっとフェスター伯父さん活躍!)。
楽しいけど、ドラマ性やメッセージ性はちと薄れたかな。
展開やオチも予想出来る。サイラスの目的はともかく、アダムス・ファミリーじゃないウェンズデーなんて! ウェンズデーが居てこそ、“アダムス・ファミリー”!
サイラスの目的は、ウェンズデーの科学のデータ狙い。
勿論、実の父娘などではない。DNAもデタラメ。
天才科学者かもしれないけど、クレイジーなマッド・サイエンティスト。科学に“失敗”した傲慢な人間はオバケより怖い。
それに対するは、正しき科学と家族の絆。
母モーティシアから贈られたアダムス家の女に代々引き継がれるペンダント。アダムス・ファミリーの血が集められている。
私の血も。私の中にもこの血が流れている。
私は、アダムス・ファミリー。
じゃあ、何故父とのDNAが不一致…?
ゴメズさん、そんな理由が…!
じゃあ、この“浮いてる感”やモヤモヤした気持ちは…?
それは、個性。同じ血が流れつつ、家族の中でも特筆した才能。
家族を愛してるのに、何故ぎくしゃく…?
それはね、思春期って言うんだよ、ウェンズデー。
多感で反抗的になって、時々家族が鬱陶しくなったり、色々思い悩むけど、
それを経験して、より家族を愛し、大人になっていく。
人間もオバケも。
父ゴメズがラストで、次は世界旅行を計画。
EDでダイジェスト的に流れたが、3作目が作られたら本当に世界旅行の怪騒動を見てみたい。
カワイイコスプレした来日が一瞬あったが、どうせなら我が日本が誇る妖怪たちとの共演を!