「少女漫画映画の面白さ、そして新たな原石」ハニーレモンソーダ ディンゴさんの映画レビュー(感想・評価)
少女漫画映画の面白さ、そして新たな原石
【少女漫画映画】という、日本にしかないジャンルがあります。
これは少女漫画を原作とした映画を指す物です。
2014年公開「L♥DK」で、山崎賢人氏の壁ドンが流行って大ヒットした事がキッカケです。
少女漫画映画の特徴として、
『イケメン』『胸キュン』『非日常』
この3点を味わえる事で、『女性人気が高い』『リピーターが出来る』という事からヒットするという法則が生まれました。
これ以降、各映画会社は少女漫画を原作とした映画を作るようになりました。
ただ少女漫画映画の難しさが、非日常を味わえる漫画ならではの良さです。
壁ドンや特殊なシチュエーションでの胸キュンシーンは、
実際にやろうとすると気分が冷めたりあり得ない事だったり、何してんのとギャグになってしまいます。
これを3次元のリアルで映画でやる難しさが出て来て、
役者や監督など映画制作者はこの難しい課題を上手く見せる事を思考するようになります。
今作「ハニーレモンソーダ」は、その課題を監督や役者が見事に魅せてくれました。
ヒロインの吉川愛氏は、「十二人の死にたい子どもたち」のギャル役が強烈な印象を残してくれて注目していました。
調べてみたら「虹色デイズ」のヒロイン役で出演しており、
表情が表に出ないあのキャラは覚えていましたが、名前までは当時覚えていませんでした。
今作ではいじめられていた過去の内気さと、
そこから新しい世界に入っていくわずかな変化を繊細に演じていて、
役者としての丁寧さを感じられて良かったです。
今後はどんな役を演じていくのか楽しみです。
そして、なんといっても今作の目玉は、主演のラウール氏です。
Snow Manのセンターとして華やかな、時には色気もあるダンスやパフォーマンスを見せています。
演技経験はドラマ数本と、映画は昨年グループで主演した「滝沢歌舞伎ZERO」と、
今作の出演者の中で経験値が低いです。
しかも出演したドラマや映画は、グループのメンバーや同じジャニーズ事務所のタレントと共演しています。
近くに味方・知人がいた現場から誰も知らない現場でいきなり主演に挑むというのは、
大きなプレッシャーを感じるはずですし、観客も大丈夫かと不安になります。
ですが今作のスタッフを見た瞬間、不安はなくなりました。
監督が、神徳幸治監督だからです。
神徳監督は、「ピーチガール」で映画監督デビュー。
この映画の主演が、同じく映画デビューにしていきなり主演に抜擢された、Hey! Say! JUMPの伊野尾慧氏。
さらに2作目「「honey」は、当時ジャニーズJr.にして異例の主演に抜擢されて映画初主演となった、King & Princeの平野紫耀氏。
全く未知数かつ映画や演技の経験値が低い2人を主演にふさわしい役者に引き出した、
神徳監督の手腕があればラウール氏は安心だと感じました。
今作ではクールな性格の界を演じましたが、
190㎝近い身長とスラっと伸びた手足・整った顔、まるで漫画の世界から出て来たような圧倒的なビジュアル。
彼が立っているだけでスクリーンが華かなになって、
決め台詞や漫画ならではのシチュエーションも、この華やかさがある事で違和感なく自然に見せていて、
スターの素質というものを感じました。
まだ経験値が低いですが、この新たな原石を磨き、時にはたたき上げる事で、
誰もが圧倒する宝石のような煌めきを放つ事に間違いありません。
是非この新たな原石を見に劇場に足を運んで欲しいです。