「感情移入」アイの歌声を聴かせて よしくんさんの映画レビュー(感想・評価)
感情移入
試写会に当選したので、前情報は何も入れず少女アニメなのかなと言う感じで、それほど期待しないで見たら、上映が始まりこのアニメでこのテーマ! と想定しない展開だったが大人でも十分に楽しめると思うし、友情や恋愛も含まれた青春系のストーリーだったが、斬新で非常に面白かった。
これから見る方は、余り前情報入れないで見た方が良いと思うので、ネタバレになるキーワードは書かないが、こうした対象の主人公に人(つまり作品の中のひとたち)が本気で感情移入しているのをみて、そして自分自身も感情移入出来ているのを感じて、こう言う対象が現実になってゆく世の中においても人は本気で感情を傾けられるのだ、ということの気づきと未来へのちょっとした希望を感じたし、あり得るかなと思った。実写よりアニメの方がこのテーマを表現するのに適していてとも感じた。いい意味で考えさせられた。
試写会の最後にオンラインで監督と中継で話を聞いたが、作品にかける思いはかなり伝わって来た。このテーマに長い時間真剣に向き合われたことは感じたし、ストーリーの出来からもそう感じた。また監督も言われていたが、主人公の声優の歌に賭ける熱意もこの作品を作り上げているが、1人でシーンが違うところでも、それぞれの状況に応じた歌はこの作品の大事な部分になっていて、見応えにもつながっている。
観賞後に聞いた監督の話の中で、登場人物が家の中で使う持ち物の色の話とか、作品の中に出てくるカレンダーやスマホの中のフォントにもこだわった話とか、作品の中に流し込むショートストーリーまでちゃんと作り込んだ話など、本気度が伝わって来て、今度はそう言う面を楽しむためにもう一度見ても良いかなと感じた。