「とにかくネコ風邪には気をつけるんだ!という教訓を痛感する一作。」劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
とにかくネコ風邪には気をつけるんだ!という教訓を痛感する一作。
冒頭、暗がりのネコと湯気の立ち上る不思議な空間。一体ここはどこなんだ?という場面から本作は始まります。この画面の切り取り方、光線状態の判断、そしてネコとの距離感、これらはさすが、写真家・岩合氏の面目躍如といったところです。舞台となるのは、北海道とミャンマー。牧場や村で飼われているネコの一家が主役です。
ネコたちはカメラの前で全く気にする素振りもなく、それぞれの生活を生きています。しかしここまでさりげない映像を撮影できるようになるまで、一体どれだけの時間と努力が必要だったんだろうと思うと、ちょっとくらくらしてきます。もちろん撮影状況によっては、望遠レンズでネコたちを遠距離から捉えた映像もあるんだけど、映像の多くはネコの視点に合わせて低い位置に据えられたカメラ。しかも広角レンズのため、本作のようにネコたちをある程度大きく捉えようとしたら、相当近づく必要があります。恐らく撮影にあたっては相当な下準備が行われていたと思うんですが、穏やかなナレーションと共に展開する映像はひたすら美しく、そんな苦労を感じさせません。
広角レンズを使っているため必然的に、ネコたちの姿と共に、周囲の環境、人々の動向も画面内に収まることになります。そのため世界紀行的な側面も楽しむことができます。
本作鑑賞後、多くの人がネコを飼いたくなるでしょうし、また既に飼っている人は一層愛猫が愛らしく見えるようになることは間違いありません。ただ、本作の重要な教訓、「とにかくネコ風邪には気をつけるべし」は心に留めておきましょう!