劇場公開日 2020年10月30日

「誰かの孤独に共感出来る」クローゼット(2020) ぬえさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0誰かの孤独に共感出来る

2020年10月31日
iPhoneアプリから投稿

この映画では多種多様の「孤独」が描かれています。

添い寝屋を訪れる顧客は皆「孤独」ですが、
実は顧客だけでなく、もてなす側もみんな「孤独」である気がしました。

主人公ジンはもちろんですが、
一人で会社をきりもりする高木さんや
ダメ人間のホストにも「孤独」を感じます。

でも自分が一番感情移入してしまったのは
やり手の先輩のKさん。

誰にでも合わせられるってことは
自分がないわけで
それって悲しいほど「孤独」ですよね。

なんだか分からないですが、観てて
「太陽を盗んだ男」が頭に浮かびました。

そんな感じの多種多様の「孤独」を
多種多様の俳優さん達が演じています。

ところで自分は人の顔を覚えるのが苦手なんです。
普通これだけ沢山の人が出てくると
誰が誰だかわからなくなってしまうんです。

でもこの映画は俳優さんの演技がみんな印象深いので
見失うことはなかったです。

特に草村礼子さんと渡辺いっけいさんの
味わい深さはしばらく頭から離れない気がします。

主演の美濃川さんも難しい役所でしたが、
物語を見事に牽引していてスゴイと思いました。

というわけで
登場人物の誰かの「孤独」に共感することで
観た人「孤独」な心に寄り添う。
まさに添い寝屋のような映画だったと思います。

ぬえさん