劇場公開日 2020年10月10日

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「LOL」わたしは金正男を殺してない kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0LOL

2020年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 事件当時、仕事を休んでいたこともあって、ニュースやワイドショーに釘付けになってしまいました。しかし、シティ・アイシャとドアン・ティ・フォンが逮捕されてからは、北朝鮮の工作員とされる首謀者の行方が掴めないまま、あっという間にお茶の間から消えてしまった暗殺ニュースたち。トランプ大統領のおかげで「今年の10大ニュース」などからも外れてしまって不思議だった・・・腹のでかいおっさんが、空港の一室でグターっとしていた映像が懐かしい。で、息子のキム・ハンソルはどうなったんだ~!?

 兄弟の政争なんてのは歴史上いくつもあるのですが、ワイドショーのキャスターが「なんて卑劣な北朝鮮。日本じゃ考えられない。」などと言ってた・・・おいおい、中大兄皇子と大海人皇子、源頼朝・義経などなどは無視かよ。と、思ったものでした。

 まぁ、北朝鮮の酷さはおいといて、マレーシア国内ではマスコミが資料を入手できなかった事実とか、司法の酷さまでもが浮き彫りにされてたような気がします。むしろ海外メディアのほうが詳しかったりして、国民置いてけぼりでしたね。

 人権弁護士たちの活躍もこの映画では明らかにされてまいました。とにかく、“イタズラ動画”で無邪気に人をダマす若い女性が人殺しなんてできますか?ってところを争点に闘っていました。

 事件の真相という点は映画を観たほうがわかりやすい。また、そうして実行犯とされてしまった二人の背景には、貧困とか搾取、女性が一人で生きていく息苦しさをも描いていました。大学は出ているものの就職先が決まらなく、“女優”に憧れるベトナム人ドアン・ティ・フォン。そして、貧困家庭に生まれ、辛い時期を乗り越えてきたインドネシア人シティ・アイシャ。逮捕拘留されても全体像がわからず、死刑になるのではないかと怯えたであろう日々。暗殺計画や国同士の駆け引きに翻弄されるところは涙なしでは直視できなかった(おおげさです)。

kossy