「世界観のみ大作」PORTALS ポータルズ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0世界観のみ大作

2022年9月14日
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SF映画の名作「2001年宇宙の旅」。それを象徴する物は何と言っても「モノリス」の存在だ。モノリスに触れた事で文明が進んだ事を示唆するシーンが強いが、未だに論争が巻き起こる不朽の名作である。さて、本作にもそれに近い物が現れるのだが、その目的や経緯は謎。冒頭である程度世界観を語られるため、期待値がグングン上昇していったのだが、興奮はそこで終わってしまった。 本作はポータルを介して様々な境遇に立たされる人々の運命を描いた物語なのだが、まさかのオムニバス形式で構成されている。それぞれに別の監督がついているのだが、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のエドゥアルト・サンチェス、「スカイライン-奪還-」のリアム・オドネル、「KILERS/キラーズ」のティモ・ジャヤント監督等の映画ファンにはもはや知った顔ぶれである。 ところが、本作の豪華な顔ぶれとは裏腹に、作品としてはかなり残念なレベルである。
本作のウリであるオムニバスという設定が何にも応用されておらず、ただ単にポータルという共通認識の中で罪なき人々が命を落としていく様を描いており、「人類消滅」という大きなテーマを抱えているにも関わらず、それぞれの話は繋がることなく、1作ごとのストーリーで完結させてしまうのだ。ある程度謎は残しておいた方がいい事もあるが、全く分からないというのは流石に観客をバカにし過ぎでは無いだろうか。いつもの知った顔で安心し切るどころか期待してしまった自身のミスもあるが、それにしてもである。日本版はいかにもSFっぽいパッケージだが、何故か頭部破裂や両目えぐり出し、ゾンビ等突然スプラッタシーンがやって来る。まぁこの監督勢ならばやりかねないだろうが。本作の監督らが多く参加した「V/H/S」シリーズのSF版と見れば良いのだろうか。

Mina