劇場公開日 2021年4月9日

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「遅咲きの名監督の手で、2人のアカデミー賞常連女優の共演による化学反応が凄まじい美しさと儚さを放つ。」アンモナイトの目覚め 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0遅咲きの名監督の手で、2人のアカデミー賞常連女優の共演による化学反応が凄まじい美しさと儚さを放つ。

2021年4月9日
PCから投稿

本作を見て思ったのは「本当にシアーシャ・ローナン出演作には外れが少ない」ということです。
2007年の名作「つぐない」ではアカデミー助演女優賞をいきなり13歳でノミネートされ、凄い女優が現れた、と思っていたら、今やアカデミー賞の常連に。
そして、これまではシアーシャ・ローナンのことは「演技が上手い女優」という認識だけでしたが、本作を見た時に(タイプの女性ではないからか)「シアーシャ・ローナンって綺麗な女優だったのか」と気付きました。
本作は、フランシス・リー監督による丹念な撮影と映像美によって、あるがままを、よりリアルに映し出されています。
実は本作を予備知識なしの状態で見たので、主役の女優は誰だか気付かず、エンドロールを見て、「え、あのケイト・ウィンスレット?」と驚きました。
これは、「タイタニック」から24年、ということもあるのかもしれませんが、明らかにオーラを消した演技力でした。
本作は、1799年生まれのメアリー・アニングという実在の古生物学者をベースに描いていて、世間とのつながりを絶ち、土産物用のアンモナイトを発掘し、細々と生計を立てています。
そんな人生に疲れ切っている主人公をケイト・ウィンスレットが演じているのです。
しかも、本作は全てのシーンを出演者自らが演じています。
作風としては、2016年にアカデミー賞で話題になったケイト・ブランシェット×ルーニー・マーラの「キャロル」、もしくは2020年末公開の「燃ゆる女の肖像」に似たものがあります。
本作のフランシス・リー監督は遅咲きの監督ですが、これから更なる名作を生みだしそうです。
ラストは音楽も美しく想像力を掻き立てます。
意外だったのは、人によってラストの捉え方が全く違う点でした。先の事は誰にも分かりませんが、私は楽観的に捉えました。
このように見る人によって捉え方が大きく分かれるのも本作の深みでしょう。

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細野真宏