劇場公開日 2021年10月8日

「出雲大社と諏訪大社は兄弟なんですね。」神在月のこども ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0出雲大社と諏訪大社は兄弟なんですね。

2021年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「神の世界」が身近に感じられるとてもいい映画だと思った。10月に全国各地の八百万の神が出雲に集まるという話は、日本の古くからある良さを感じさせてくれる。古来日本人はすべてのものに神が宿るとして想像力を働かせて様々な神を作った。出雲の「神議り」という話はとても興味深いが、短いアニメの中で紹介するのは少し限界があるようだ。八百万の神々もあっさりした描き方で少し物足りないものがある。神話も大事であるが、この物語の中心はやはりカンナという少女の成長である。大好きな母を自分のせいでなくしたと沈んでいる少女が、「走る」ことを通して神の世界と通じ、母の思いともつながる。最初は、神の使いの白うさぎの誘い文句に乗って、ただ母に会いたいという単純な思いだけで出雲へ走り出した。しかし道中でシロや夜叉との強い絆のようなものが芽生え、神々との交流を重ねる内に何か自分の中で変わるのを感じたようだ。最後の試練のようなものを乗り越えて出雲に辿り着いた時には、少女は神々にも祝福される存在になっていた。
miwaさんの曲は少女を応援するものであるが、作品の世界観とも実にマッチしていた。力強い曲調はカンナの心を表すとともに、和風な曲調が神々の世界をも表していた。

ガバチョ