配信開始日 2020年4月24日

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「【迫力あるけど......】」タイラー・レイク 命の奪還 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【迫力あるけど......】

2021年11月23日
iPhoneアプリから投稿

「溺れるのは川に落ちるからじゃない。そのまま沈むから」

いろんな意味が込められた言葉だと思う。

オヴィが誘拐されるインドと、誘拐する組織の拠点バングラディッシュは微妙な関係だ。

バングラディッシュはもともと、イギリスがインドの一部として植民地支配していたが、第2次大戦後、独立する際、ヒンドゥー教優位のインドと同一国家の道は選択せず、同じイスラム教圏のパキスタンとインドを挟んで東西に隔てられてはいるがパキスタンとして異なる国家となる選択をした。

しかし、その後、同じイスラム教圏とは言いながらも、そもそもの文化様式が相当異なるため、更にバングラディッシュとして独立を勝ち取ることになり、数度のクーデター、民主化選挙を経て現在に至るが、インドとは独立の経緯などもあり微妙な関係が続いているのだ。

国旗は、日本の日の丸を参考にしたとされており、親日国だと思うが、アパレル産業の誘致に成功しつつも、世界的には最貧国に属し、洪水被害の大きい国として知られている。

また、2016年7月のダッカ・レストラン襲撃事件は記憶に新しいが、バングラディッシュ系日本人がテロに関与していたことでも衝撃的な事件となった。

この作品は、こうしたインドとバングラディッシュの微妙な国家関係や、バングラディッシュが貧困国であり、民主選挙が実施されるも、軍の力は依然として強く、汚職が蔓延りがちであるという状況をプロットして制作されたアクション映画だと思う。

まあ、戦闘アクション映画としては迫力はあるのは確かだけれども、上記のような感じで、結構ステレオタイプになってしまうのだろう。

誘拐されるのはインド人の少年で、誘拐するのはバングラディッシュのマフィア、救出はアメリカ人傭兵だし......。

まあ、インド人は配信で喜んで視聴するかもしれないけど、バングラディッシュの人は不快だろうなと心配もする。

どうせなら、タイラーの仲間のニックは、インドの麻薬王であるオヴィの父親もついでに退治しちゃえば良かったんじゃないかって考えた。

その方が、悪い奴のせん滅になるし、オヴィを救出しようとしていたもう一人の男(名前は失念)への供養にもなる。

「溺れるのは川に落ちるからじゃない。そのまま沈むから」

プールサイド、タイラーが生きてるっぽかったね。

沈まなかったのだろうが、映画界も沈んで溺れないように、あれこれ試さないといけない時代なのだろう。

ワンコ