「なんだか、あっさりしすぎているんだよなぁ。」秘密への招待状 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
なんだか、あっさりしすぎているんだよなぁ。
予告編見た時はサスペンス?とおもいきや、あれれ?ちがうやーん展開の本作です。
母とは?親子とは?をテーマにしたヒューマンドラマ・・・でしょうか?
お話序盤は「ん?何?何?」って感じで展開はどーなるのかな?って感じで興味をそそるのですが、お話が進むにつれて、なんだかどうにも「秘密」の無理くり感を持ってしまい、いまいち入り込めませんでした。また、すごーーーく入り組んでいる人間関係を描いているのですが、結構あっさりお話が進んでいく感じもちょっとなぁ・・・って感じでした。
僕はこのお話のテーマは好きです。
訳あって親子になれた人と、なれなかった人。その二人を通して描く「親子とは」「母とは」「家族とは」というアプローチは好きです。そして、この複雑な因果ある人間関係。非常に興味深いです。
ですが、妙なサスペンスタッチの描き方が、そのテーマを薄めちゃっているんじゃないかなぁ?って思うのです。
それと、テレサの気持ちの描かれ方が少ないので、話を回すキーパーソンであるはずなのに、嫌な人にしか見えないという残念さ。
僕はひねくれているので、このテレサいいとこ取り感がどーにもしっくりこなかったのです。
あまりにイザベラがテレサの当て馬過ぎて気の毒なほどです。
故にテレサの壮大なサプライズ作戦が傲慢に見えてしまうのです。自己満足のためじゃん全部!って。これを言っちゃぁお終いなんですが、テレサが選んだ方法しかなかったのかなぁ?って思っちゃったんですよね。ま、その方法を描くからこそ物語になるんですが。
ぜーんぶ、とにかくぜーんぶの人の心を掻き乱しておきながら、その告白でチャラになるって、、、
安易過ぎないかなー?って思っちゃったんですよね。確かに重大な内容ではありますが。
その方法を選ばざるを得なかった理由を見つけることができなかったです。僕には。
テレサの愛情が深くなった理由が知りたいし、連れ子からも愛されるほどになった理由も知りたいのです。イザベラも愛情が薄いわけじゃないし、きっと孤児を育てていく上での愛情の掛け方の悩みなどもあったはず。
「愛情の注ぎ方、親のなり方」ってところを人物像から描いて欲しかったなぁって思います。
もちろん、僕が読み取れていないのかもしれません。
木から落ちた巣を拾った者が巣の中の卵を育てる。
親鳥は落としたくて巣を落としたわけではないだろう。
きっと断腸の思いで卵を諦めたであろう。
そんな描写があるんですから、その辺りをもっと深めて欲しかったなぁ。
願わくば、テレサは金をたくさん使ってイザベラに何らかの罰を与えたかったけど、落ちた巣を手にした時に、何かに気付きイザベラへの対応を変えた・・・・という裏のストーリーがあるといいなぁって思いました。
もっともっと面白くできた作品なんじゃないかなぁ?