「“秘密”を知らずに観るのが吉。宣伝や紹介の難しさはあるが、なかなかの良作」秘密への招待状 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
“秘密”を知らずに観るのが吉。宣伝や紹介の難しさはあるが、なかなかの良作
ミシェル・ウィリアムズはインドで細々と孤児院を経営する中年独身女性イザベルの役。孤児院への出資を検討しているのでニューヨークまで事業を説明しに来るようイザベルを呼び寄せるメディア企業社長テレサ役にジュリアン・ムーア。その夫役にビリー・クラダップ。このキャストだけでピンと来て、予告編などでストーリーの予備知識を仕入れることなく本編を鑑賞すると、より驚きをもって楽しめるはずだ。
宣伝のコピーに「家族の衝撃的な〈真実〉と、新たな〈秘密〉」とあるのだが、予告編や当サイトの解説などでも家族に関する秘密が具体的に明かされているので、それを承知の上で観ると衝撃もずいぶん薄れてしまう。もっとも本作は2007年日本公開のマッツ・ミケルセン主演デンマーク映画「アフター・ウェディング」のリメイクなので、そちらを鑑賞済みの人には知られているわけだし、多少のネタばらしは仕方ないという考え方もあるか。リメイクにあたり、慈善活動家と企業経営者の2人が男性から女性に置き換えられている。
あいまいな書き方になるのをご容赦願いたいが、人生について、生き死にについての示唆に富む良作ということぐらいは言ってもいいだろう。なお監督のバート・フレインドリッチはジュリアン・ムーアの夫。主要キャストでは3人のほか、結婚式を挙げる娘役、濃い眉と高い鼻が印象的な個性派美人のアビー・クイン(「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」に少し出ていた)が魅力を放っている。シンガーソングライターとしても活動しているそうで、彼女主演の音楽映画をぜひ作ってほしい。
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