「何か残念」カオス・ウォーキング Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
何か残念
製作側はヤング・アダルト小説の映画化にはかなり力を入れる様だが、誰しもが「ハンガー・ゲーム」の後釜を追おうとしているからだろう。近年の映画は当たれば大きいフランチャイズ化が当たり前のようになり、オリジナル作がめっきり少なくなっているのが現状だが、過去にも「メイズ・ランナー」「ダイバージェント」「フィフス・ウェイブ」等のヤング・アダルト小説の実写化作品がシリーズ化を前提として公開されている。だが、どの作品も順調に完結した作品は無いのではないだろうか。
本作もトム・ホランドやデイジー・リドリーという現代の超大作の主人公二人を共演させるという気合の入りようだったが、結果は鳴かず飛ばず。
実は本作の製作は2017年。一度完成したものの、試写会での評価が著しく悪く、数億円を投じて追加撮影を実施して2021年の公開に至る。大幅な修正のおかげでなのか、物語の展開は悪くなく、自然な流れで「ノイズ」の説明や過去の出来事を描いている様に思える。だが、森を移動するシーン等の尺が長く、変わり映えのしない同じ様なシーンの連続でやや間延び感が出ているのは否めない。せっかくの旬な二人のいわゆる観客が求める様な魅力が本作には少ないという問題点があるのだ。顕著なのがアクションシーンだろう。お互いそれぞれの作品で鍛えたアクションはさほど披露してくれる訳でもなく、かと言ってCGバリバリのど派手な登場がある訳でもない。このコロナ禍においては劇場にすべての人が足を運べる訳ではないため、ヒットするのならば何か目を引く物を提供しなくてはならない。本作に足りないのはまさにその二つだ。
また、ダグ・リーマン監督は馬をプールで泳がせて、波をつけて急流をわざと作り出して撮影に望んだところ、その際に愛護団体が大激怒したという話があるが、それは本作なのだろうか。