「本当に惚れ惚れとしました 冒頭~、中盤までは侮って観ていた自分が恥ずかしくなりました リュック・ベッソン監督さすがです!」ANNA アナ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
本当に惚れ惚れとしました 冒頭~、中盤までは侮って観ていた自分が恥ずかしくなりました リュック・ベッソン監督さすがです!
ANNA/アナ
2019年公開
素晴らしい!あーおもしろかった
終わってもまだ興奮がさめやらないです
表面的には、なんかありきたりのスパイアクション映画
どこか既視感のある展開も多い
ところがどっこい、それは監督の仕掛けにまんまと引っかかっただけ
いきなり本格的スパイ映画を展開してもついてこれないだろ君たち
だからこうしたんだよ
なんかそんなふうに言われた気がしました
本格的スパイアクション映画を久し振りに見た充実感と満足感に浸りました
傑作です
というか、大昔からのスパイアクション映画の歴史を通じて指折りの名作だと思います
かって米ソ冷戦たけなわの時代、スパイスリラー小説のブームがありました
虚々実々、騙し騙され、殺しはない、同業者同士のルールを守った知能の戦いを描いていました
舞台は、本作の冒頭のようなモスクワ市内、あるいはウィーンかパリが多かったです
名作と言われる作品も多数あり読みふけったものでした
それが冷戦も終わり、ソ連も崩壊、そうしたスパイ小説もいつの間にやら廃れてしまい、スパイ映画自体も007のように派手派手しいものなり、遂には最近のような曲芸サーカス映画にまで成り下がってしまいました
本作には、確かに派手なアクションシーンも殺しのシーンも大量にありますが、それは、今のスパイアクション映画がそういうものだからそのフォーマットに合わせてあるだけのことで、本作の本質は騙し騙され、虚々実々のストーリーにあります
それを分かり易いように時を巻き戻して、そのとき、本当は何が起こっておたのかを種明かしするという見せ方をしています
男に美を消費されるだけのモデルが実は女スパイのスーパーヒロインで男を圧倒して胸がスカッとするとか、KGB もCIA も手玉に取っていてすごいという、今時の見せ方もしていますが、これもこういうものが求められているんでしょ?と監督が皮肉を込めてわざとやっているような気がしました
アナが市場で売っていたのはマトリョーシカ
ロシアの入れ子式のこけしみたいな民芸品
そのマトリョーシカのような物語の構造が見事です
終盤は特に見事、一体どうなるのだろうとドキドキしました
オルガも40年前の1985年当時はアナのように若い女スパイに成りたての頃だったはず
彼女もアナのようにリクルートされ、5年で自由になれるといわれてきた人生を歩んできたのでしょう
終盤にこのマトリョーシカが完成する構成の見事さ
本当惚れ惚れとしました
冒頭~、中盤までは侮って観ていた自分が恥ずかしくなりました
リュック・ベッソン監督さすがです!
蛇足
本作の公開3年後
ロシアのウクライナ侵攻
KGB ソ連崩壊と共に無くなったものの今はロシアでFSB と名前を変えてかって以上に暗躍しているようです
終盤、KGB 長官暗殺が行われたビルは、モスクワのルビャンカ広場のKGB 本部ビルです
CG なのか本当に撮影したのか写真で見た通りの姿でした
内部や、無数のファイルキャビネットもそれらしいもので満足できました
オルガが削除キーを押したのはアナのメールの削除だけに見えました
彼女のデータを全部消すとか、あの無数のファイルキャビネットからアナのファイルを廃棄したようにはとても見えません
続編の布石?まさか
本作はこれで完結してこれ以上は蛇足そのもの
まして、ウクライナ戦争が起こってしまった以上、ロシアの女スパイなんか観るのも嫌です
でも、ゼレンスキー大統領暗殺に来たアナが実は、二重スパイどころか三重スパイでラストはプーチン暗殺のお話ならちょっと観たいかも?
アナは今はオルガポジションの中年女になり、新しいアナがリクルートされてるところからのお話なんてどうでしょうか?

