「さようなら志村けんさん」キネマの神様 よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
さようなら志村けんさん
まず率直な感想を言うと、志村けんさんが出演しているこの映画を見たかった。
沢田研二さんには申し訳ない話ではあるが、冒頭の登場シーンから強くそう思った。
というのも、ゴウの台詞の随所に志村けんさんの言い回しが入っているような気がしてならない。
聞けば原作から大きく改変されているそうなので、脚本を書く際に志村けんさんに当てて書き直されたのは理解できるしその方が良いとも思う。
それをわざわざ直さなかったのは監督の粋な心遣いのつもりだったのだろうか。
このゴウという人物を志村けんさんが演じたらきっとギャンブルに明け暮れるダメ親父の中にちょっとした愛嬌を加えて淑子さんが離婚しないのも宜なることかなといった演技を見せてくれたんだろうな、とあらぬ妄想を随所でしてしまう。
そして永野芽郁さんが良かった。
最初は昭和の言い回しに少し違和感があったものの物語が進むにつれてその違和感もとれていき、こんなに昭和が似合う女優さんはいないだろうなと思った。
これは北川景子さんも同じで往年の大女優といった雰囲気が良く出ていて素晴らしい。
菅田将暉さんも言うまでもなく最高。
そして意外に良かったのが野田洋次郎さん。
自然体な演技で昭和パートの物語を盛り上げるのに一役買っていた。
前田旺志郎さんの演技はロボットのように感じられて不調。
監督の指導の結果なのかどうかはわからないがもう少し感情の起伏があってもいいのでは。
そしてこれはしょうがないことではあるが現代パートに往年の名俳優が出演して昭和パートに脂がノリに乗ってる若手俳優が多く使われているため、最初に映される現代パートで昭和感を感じてしまった。
加えて言及したいのはコロナ禍の描写。
これはこの作品に限らず、他のドラマでも感じることだが、日本のコロナ禍の描写が中途半端すぎる。
コロナ禍を描くなら描くできちんとマスクはしておいてほしい。
そりゃ、家の中のシーンではする必要は無いと思うが、最低限外のシーンではマスクをしておいてほしい。
でないと違和感がものすごい。
これがコロナが終息して10年後に描くならまだしも今現在起きていることを描いているのだからそこは徹底してほしいと思った。
特に病院で見舞客(小林稔侍さん)がマスクをしていないのは思わず「大丈夫か?」と思ってしまった。
途中東村山音頭が出てきた時は思わず泣いてしまった。
さようなら志村けんさん。
私も 志村けんさんがゴウを演じてたら 淑子の気持ちが少しは共感出来たのにな…と思います。何故ゴウと別れなかったのかが 全く理解出来ませんでした。昭和感 本当に残念でしたー💦現在2020年パートなのに、全てが古い…せめて音楽とか、街の様子など今を感じる演出が欲しかったです。そう、マスク!ちょっと いい加減でしたね。孫の男の子のキャラも ちょっと古いなと…。
それにゴウが考えたシナリオ(映画スクリーンから映画スターが飛び出して来る)は 若きゴウが考えた時には、斬新で素晴らしいアイデアだったと思いますが、その後「カイロの紫のバラ」や最近では「今夜、ロマンス劇場で」などの同じようなシチュエーションの映画が発表されているので、今更シナリオコンクール?で大賞を受賞するというのも…何だか腑に落ちませんでした。コロナが有るこの今の世界線なら…余計に違和感があります。
そして、最大の疑問は、ゴウが田舎に帰ってから淑子とどんな日々を送っていたかが、全く描かれない(ギャンブルに明け暮れていた?それで子供は育てられる?)のに…どうしてゴウが映画を愛しているという設定なのかが全く理解出来ませんでした。田舎でも、映像の仕事を模索していたとか、映画館に通っていたかとか…そんな話も出て来なかつたので…。あんな晩年になって急にシネマの神様なんて話になるのは違和感しかなかったです。友人の映画館主は確かに映画を愛して来たと言えると思いますが。
私も野田さんの演技は味が有って好きです。俳優初挑戦ではなくて、「dele」とか、「100万円の女達(主演)」などのドラマ経験が有りますよ。