「志村けんさんを偲んで」キネマの神様 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
志村けんさんを偲んで
2021年映画館鑑賞73作品目
8月16日(月)イオンシネマ新利府
原作未読
原作とはだいぶ違うらしいがそれでも面白い
娯楽映画の作り方を熟知している山田洋次監督の安定感
笑えて泣ける人間国宝クラスの職人芸
古臭い?
そりゃそうだろう
古い話だし主人公は老人だし監督は高齢者だ
古いものはそれなりの良さがある
新しいものだけが正しいという考え方は馬鹿だ
共感できない?感情移入できない?
それができないと映画を楽しめないなんて不幸なことだね
僕には全く理解できない
若い頃と老人のあいだが描かれていない?
想像したら良いじゃない
映画の尺というものがあるしやたら長くなっておしりが痛くなっちゃうよ
競馬とマージャンと酒が大好きで闇金融から借金をしてしまうダメ老人円山郷直は自宅に借金取りがやってきたことがきっかけで娘・歩にカネを管理をされることになる
ギャンブルは出来なくなりもう一つの趣味の映画鑑賞ならお金を出してやると歩は言う
郷直は若い頃は映画会社の助監督で剛直の妻淑子は撮影所近くの食堂の娘だった
郷直は自作の脚本「キネマの神様」で監督デビューしたが先輩スタッフからの度重なるダメ出しもあり撮影中の事故で挫折し映画会社を辞めて故郷の岡山に帰ってしまう
淑子は食堂を辞めて郷直と結婚して一緒に岡山に行くことになる
剛直老人の行きつけの映画館「テアトル銀幕」は旧友テラシンこと寺田心太郎が経営していて淑子もそこで働いている
孫の勇太の勧めで脚本「キネマの神様」を脚本の芥川賞直木賞のような木戸賞なるものに応募したら見事大賞に選ばれる
円山郷直役沢田研二 菅田将暉(青年時代)
円山淑子役宮本信子 永野芽郁(青年時代)
寺林新太郎役小林稔侍 野田洋次郎(青年時代)
円山歩役寺島しのぶ
円山勇太役前田旺志郎
配役が良い
キャラが立っている
コンサートの中止で話題なったときはあまりの変貌ぶりにショックを受けたがその姿はこの役にピッタリの沢田研二
志村けんの代役を見事にこなした
東村山音頭は泣けた
青年時代のテラシン役の野田洋次郎は初めて観た役者だったが有名バンドのボーカルだった
歌しか聞いたことがなくこんなパッとしない男だったのかと驚いた
『しあわせの黄色いハンカチ』の武田鉄矢のような抜擢
孫はまえだまえだの弟だった
全く気づかなかった
あんなにかわいかったのに
淑子の母親役に広岡由里子
娘はあんなに可愛いのに母はブサイクである
かなり前になるがVHSで『マリアの胃袋』を観たとき若い頃の広岡由里子が出ていたがあのときはしょぼい陰気なブスだなと思ったものだ
今回は似てない母親役として良い仕上がりだ
歳を重ねてきて良い味が出てきた
当時のスター女優桂園子役に北川景子は完全にハマっていた
リリーフランキー演じる出水監督曰く「演技が下手くそで不自然」でこのくらいの年齢の大物大根役者で美人女優といったら北川景子において他に無し!
VFXはあの程度で良い
ドヤ顔のハリウッドは目が疲れる
スクリーンからから役者が出る発想は『Take On Me 』のプロモーションビデオを彷彿させた
テアトル銀幕のトイレはありえないくらい汚すぎる
岩手や宮城であんなにトイレが汚い映画館はないので驚いた
あんな映画館は嫌だ
あと映画代とかレンタル代などを出してくれる娘がほしい