劇場公開日 2021年8月6日

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「志村けんのような沢田研二」キネマの神様 ガゾーサさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5志村けんのような沢田研二

2021年8月8日
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元々志村けん主演で制作が決まっていたけれど急逝したので沢田研二が役を引き継いだ、という話が恐らく映画本編の内容より有名なエピソードとして主張している今作。
沢田研二の演技を観るのは久々でしたが、時々観ていて「ああ、志村けんもここは全く同じように演じていただろうな」と思ったシーンがいくつもありました。フジテレビのコント番組より、NHKでの「となりのシムラ」でよく見られた、どこか疲れていて、世の中の理不尽や、自分自身への諦めを持った熟年の男でした。
それを山田監督が意図して演技指導したのか、元々志村けんと似た演技をするから沢田研二に依頼したのか分かりませんが、「志村けんの代役」としてのキャスティングとしては適役だったと思います。もちろん、他の俳優が演じていたら(常連の橋爪功とか)全く違った映画になっていて、もっと面白くなっていたかもしれませんが、「もし志村けんが山田洋次監督の映画に出ていたら?」というシミュレーション映画としてはこれで良かったと思います。

逆に言えばそこが見所であり、ストーリーとしては過去の物語が現在に影響を及ぼす方法が当時の映画をたまたま観ただけ、という非常に弱いものであり、ラストもあの演出では感動よりも怪談に近い印象を受けてしまいました。

ガゾーサ