「高校生の息子を持つお父さんの鳩尾にボディブローをかましてくる痛いにも程があるトラジコメディ」47歳 人生のステータス よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0高校生の息子を持つお父さんの鳩尾にボディブローをかましてくる痛いにも程があるトラジコメディ

2021年1月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

カリフォルニア州サクラメントで妻と高校生の息子の3人で慎ましやかな生活を営む47歳のブラッドは高校生の息子の大学面接に同行して自身が大学生活を送ったボストンを訪れる。今では色んな分野で活躍している旧友達に対してブラッドは劣等感を感じていたが、うっかり面接の日程を間違えていたことから面接をキャンセルされてしまい、やむなく旧友を頼りにせざるを得なくなるが・・・からのアラフィフ父さんが全員目を覆いたくなるほどに痛々しいドラマ。

平凡な男ゆえに遭遇してしまう様々な理不尽に苛立ちながら旧友達の活躍に嫉妬し、己の果たせなかった希望を息子に託して奮闘し、妬みに支配された胸の内を若い大学生に見透かされ情けないまでに論破されてしまうブラッドを演じるベン・スティラーのあるある演技が“お願いだからもうやめて“と懇願したくなるほどに生々しいですが、そんな父を疎ましく思いながらも寄り添う息子トロイといつまでも若々しく明るい妻メラニーとの生活を振り返って、幸福とは何かを見つめ直す様はじんわりと胸に沁みました。恐ろしく地味なドラマなのでそうそう日本には輸入されなさそうですが、高校生の息子さんをお待ちのお父さんはこっそり観に行くべき映画であることは間違いないです。

よね