「大切なのは透明さ」ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
大切なのは透明さ
汚染物質を埋め立てていると疑われる巨大企業に挑んだひとりの弁護士の物語。
農場の牛が大量死したのは、汚染された川の水を飲んだからだと訴える牧場主。地元の弁護士達は、相手が有力な巨大企業ということで皆尻込みをしている所、伝手あって主人公ロブに依頼が舞い込む。
懐疑的だったロブも、牛の暴走を見てから考えが変わり…。パーティー会場でのデュポンCEOの憤り様…これもう答え合わせは済みましたね。
資料開示を要請すれば、嘲笑うかのように膨大な量を。。しかしそれでも諦めないロブ。その姿には熱いプロ魂と正義を感じる。
しかし、その真面目さが祟りロブは心身ともに…。家族との間にも軋轢が。確かに、いきなり汚染されてるなんて言いだした日には、奥さんだってああなりますよね。。でもそれが真実だなんて。
いよいよこちらの攻撃開始!!となっても、裁判はそうポンポンと事は進まず…。相手は町中を牛耳っている大企業。向こうに回せば皆の雇用問題も…。つくづく相手が悪すぎる。。
ロブ自身だって、テナントの訴えを他の弁護士のように無視していたら、憔悴することもなく普通に幸せな家族生活を送れていたかもしれない。それでも、巨大すぎる敵に立ち向かう正義感よ…。
「レセプター」の下りには身の毛がよだつ。良心はどこに…。
そしてそして耐久戦の泥試合に持ち込むとは。どこまでも往生際が悪い。
闘いは今も尚続く。科学的証拠があっても、強すぎる相手には有力者たちもひれ伏し…結局金を持つ者が正義なのか…。
改めて、正義とは何か、身を犠牲にしてでも巨大すぎる相手と闘う大切さを教えてくれる。それでも、ロブのように実際に闘う人はどれだけいるだろうか?
決して他人事ではない問題に、深く考えさせられる作品だった。