「赤井一家全く生かされず これならいない方が良かった」名探偵コナン 緋色の弾丸 さなさんの映画レビュー(感想・評価)
赤井一家全く生かされず これならいない方が良かった
鉄は熱いうちにというので鑑賞直後に思ったまま書きます。
映画を観てここまでがっかりしたのは初めてです。前作の紺青の拳もいまいちだなあと思い★2をつけましたが、その前作と比べても今作はかなり下回ります。一年待って期待値が上がっていたと考えても大分ショックというか、正直本当につまらなかったです。個人的に紺碧の棺に匹敵するくらい盛り上がりポイントがありません。赤井一家という明らかな豪華素材を使ってこれ……?と声を大にして言いたいです。紺青の時にも思いましたが、監督……本当に変えてほしい。でも今回は脚本が櫻井さんだったのでちょっとは期待していました。某刑事ドラマすきなので。櫻井さん脚本らしく内容は大人向けだと思うんですが、映像では無理に子ども向けにしようとした感じもあり、大人向けにも子ども向けにもならなかったという中途半端さを感じました。この監督さんはまだ前作のような画面が明るい軽めの話を作られた方が良いです。今作のような事件性の高い話には向いていないと思います。元々の脚本の問題もあるでしょうが山も谷も見せ場も演出出来ていなくて、全体的に平坦というか、ただそこにある文字を読むだけの音読を聞かされているような感じでした。キャラクターの口を借りて諸々の説明をしているだけといった風で、全体的に作り手が内容やキャラクターを理解して作っているのか疑問に思います。
紺碧の棺とか戦慄の楽譜の頃っていわゆる低迷期って言われてると思うんですが、紺青の拳からまたそれが本格的に始まったんじゃないかと思っています。来年は観に行くかも分かりません。人気キャラを出しておけばいいみたいな風潮は本当にやめていただきたいです。こだま監督時代のようなストーリー重視か、コナン以外のキャラをメイン枠に据えるならゼロの執行人くらいこのキャラクターじゃないと話が成り立たないと思わせるようなしっかりとした構成にして欲しいです。近年だとゼロの執行人は今までのコナン映画にはないようなドラマ様なつくりでストーリーや演出も良かったと思いました。あれを観てコナンの映画もまた面白くなるのかな、と期待していたのに後二作でかなり下がりました。赤井さんや世良ちゃんが出てる映画なら公開日に金曜ロードショーでやっていた異次元の狙撃手のほうがよほど良いです。
どんなに出来が悪いと言われている映画だろうがだいたい一つくらいはいい点が挙げられますが、今回の映画は良かったポイントが本当に思いつきません。無理矢理赤井一家を絡めましたといった感じで、別に赤井一家いなくても良かったんじゃない?むしろいなかった方がストーリー的にまとまったんじゃない?と思える内容です。この映画の良かった点を強いて挙げるなら、世良ちゃんがかわいかった。それだけです。
あと本当に気になったのが、もともと原作もかなりザルなところはありますが、新幹線の乗客全てに聞こえているような場面で「新一兄ちゃんが言ってた」とはっきり言わせたことと、コナンが赤井さんに同意の上で撃たせたことです。いくら位置調整したからって言っても一歩間違えば死ぬんじゃないですかね。14番目の標的とか天国へのカウントダウンの頃のコナンくんは良かった。あとここは赤井さんの見せ場でもあったと思うんですが時間差があり非常に分かりづらい。異次元も純黒も分かりやすく凄腕スナイパーとしての赤井さん(昴さん)を演出していたのでまだ盛り上がれました。
文句を言えば際限なく昔は良かったと言うばかりなのでこのくらいにしておきますが、なんとか持ち直してほしいです。再来年あたりは期待しています。
もうサブキャラはいらないからコナン・蘭・おっちゃん、この三人がメインのストーリー重視の話をやってほしい。ここまでやってくれたら観てみたいのになあと思います。
最後に、製作側にはこのような内容で視聴者がついてくると思ってほしくないです。近年はファミリー層向けでもクオリティの高いアニメ作品がいくつもあります。内容はわかりやすくかつ視聴者を作品の世界に引き込むような演出が必要だと思います。コナンは小さい頃から見ていた作品で本編でも劇場版でも好きな話はいくつもあり愛着があるので、頑張ってほしいです。