「キャラクターの良さが生きた作品」名探偵コナン 緋色の弾丸 namiさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラクターの良さが生きた作品
原作ファンです。
オープニングの演出が秀逸で印象的。
総力戦という言葉がしっくりくるような、それぞれのキャラクターが生きた作品。
事前にフィーチャーされていなかったキャラクターの方が記憶に残る良い味を出しているように感じた(灰原哀、世良真純、羽田秀𠮷、FBIなど)。特にジョディと犯人のシーンは彼女の生い立ちを知っているとぐっとくるものがあった(単行本42巻参照)。
パンフレットの中で櫻井さんが語っていたが、キャラクターを大事にしていることがわかる見せ方で、愛のある作りになっていたと思う。
1回目よりも2回目、3回目の方が色んな視点で見ることができ楽しめた。
ただ、残念だった点も。
・役割を分散させすぎたせいか例年に比べ盛り上がりに欠ける。
・リニアのあの大惨事で全員が同じ車両で無事だったのは流石に違和感を感じた。
・15年前の事件の動機など劇中で明かされない。想像で補える範囲だが初見はもやもやが残った。
・これは好みの問題だが赤井家のポスターや背景などのデジタルな作画や色づかいが苦手。ジブリも変わってしまったし時代に合わせての変化は仕方ないと思うが寂しさを感じる。
・最も残念だったのは、事前のキャンペーン。
「待ってました赤井さん」を始めいかにも赤井秀一が活躍するかのような取り上げ方をしていたので、彼に対する期待値がとても高くなっていた。でも公開前から出ていたカット以上の見せ場がなく、例年のコナンのテーマに合わせたわかりやすいクライマックスもなかったため、見終えた後少しのがっかりと寂しさに繋がってしまった。
確かに見せ場のシーンは痺れたし兄弟のシーンも良かった。赤井秀一のキャラクターを考えたら今回の立ち回り方はわかる。しかし、事前のPRの煽りによって期待が高まっていた分、物足りなさを感じてしまったのは事実。
せめてジョディあたりに「まさかあれはシュウが?!」ってもっと盛り上げてくれる描写があれば少しは救われたかも。
ただただ映画館という舞台でもっと格好良い姿が見たかった。
櫻井作品ということでゼロの執行人と比べてしまったところもある。伏線回収や犯人の個性、音楽、テンポ、アクション、本当に気持ちの良い作品だった。作品にのめり込める気持ちよさが欲しかった。
やはりコナン映画のラストは純粋にコナンのテーマと共に派手な演出で盛り上げて欲しいと感じた。
もやもやも吐き出したが、見れば見るほど面白い作品には違いないのでまた映画館に足を運びたい。
最後に、置鮎さんの赤井成分多めの沖矢の演技最高でした。