「2020年代アイドル映画の幕開け!!!」映像研には手を出すな! ディンゴさんの映画レビュー(感想・評価)
2020年代アイドル映画の幕開け!!!
本作は大童澄瞳氏の同名漫画を原作にしています。
今年の始め、「きみと、波にのれたら」等で知られる湯浅政明監督によってTVアニメ化されて、高いクオリティと怒涛の展開と演出が話題になりました。
私はこのアニメをキッカケに本作のドラマ版、そして今回の映画を拝見しました。
まず初めに、アイドル映画について簡単に説明させて下さい。
アイドル映画は、角川映画によってその名が作られた新しい映画のジャンルです。
「セーラー服と機関銃」薬師丸ひろ子氏、
「時をかける少女」原田知世氏、
「晴れ、ときどき殺人」渡辺典子氏など、
アイドルの魅力と監督の個性を最大限に引き出す作品の質と、
そのアイドルのファン達を映画館に足を運んでもらうビジネス、
この両者を最大にもっていったのがアイドル映画です。
その後、「黄色い涙」嵐、「幕が上がる」ももいろクローバーZなど、
2000年代、2010年代と代表するアイドル映画が誕生してきました。
そして今年2020年代の幕開けで、このトンデモないアイドル映画が生まれました!
本作の主演である、アニ研の電撃3人娘を乃木坂46の齋藤飛鳥・梅澤美波・山下美月の3人が演じています。
この3人が凄いんです!
何が凄いかというと、アイドルの空気・オーラを完全に消して役そのものになっているのです!
齋藤氏は乃木坂46のセンターやドラマ、映画「あの頃、君を追いかけた」で知っていましたが、
そこからのイメージだと清純や王道ヒロインが似合う感じでした。
ですが本作で演じた浅草みどりは極度のコミュ障、アニメの事になると自分の世界に入って超早口で話すというクレイジーな主人公です。
齋藤氏のイメージと全く正反対のキャラをどう演じるかと思えば、見事変顔やオドオドした歩き方などコメディアンとしての新境地を開きました。
個人的に次回出演作を観たい注目の若手女優の一人です。
梅澤氏と山下氏は、ファンには申し訳ありませんが、本作のキャスト発表されるまで全く知りませんでした。
ですが調べると、梅澤氏は身長170㎝の抜群のスタイルで、演じた金森さやかのビジュアルをそのまんま写したようなハマり役!
山下氏はCanCam専属モデルで、演じた水崎ツバメがカリスマ読者モデルでこちらもハマり役!
見事にハマった2人は思いっきり振り切った芝居をして、アイドルと言われなきゃ分からない程、素晴らしかったです。
こうしてアイドルとしての魅力と役者として役にハマる相互関係を最大限に出せたのも、
監督の英勉氏の手腕があってでしょう。
「あさひなぐ」で乃木坂46と組み、彼女達の魅力と映画としての魅力を引き出し、
それ以降も数々の漫画作品の実写を手掛けています。
個人的に「賭ケグルイ」のドラマ・映画は群を抜いて凄いです。
ぶっ飛んだ設定とキャラクターを、若手俳優達がここまでやるかという程、変顔などの顔芸や振り切った芝居、そして観客に向けて語る口上回しといった演出で、原作の魅力を実写に落とし込み最大限に発揮させました。
こうして主演の3人と監督の化学反応が予想を遥かに超えて最大限に発揮し、
2020年代最初の今年に、トンデモなくクレイジー、かつ映画の自由さを教えてくれる凄いアイドル映画が生まれた事に幸せを感じます!