「ひどく凡庸な物語、自己陶酔する作り手。」シャドウプレイ 完全版 sayuさんの映画レビュー(感想・評価)
ひどく凡庸な物語、自己陶酔する作り手。
全篇なにかこう、世界のいけてる映画をシロートが背伸びして真似してみました(オレたちいけてるよな)みたいな作りで、カメラも編集も照明も全面的に甘っちょろい。甘いから、何がなんだか分からない。
ほとんど地明かりで押し切ってるから、暗い室内のSEXシーンなんかほぼ何も見えてない。カメラは振り回しすぎ編集はショットを短くしすぎで、いやー、映画学校の修了製作で講評に「まあちょっと落ち着け」と書かれるたぐいの作品(講師がそう書いてくれない映画学校は今すぐやめろ)。
そんなに甘いのに物語についてゆけるのは、要するに物語自体が凡庸すぎてはじめから想像つく範囲でしか展開しないから。
同様のストーリーと映像をめざした『別れる決心』が終始プロのしたたかな技巧に支えられていたのと比べてみると、その志の低さがよくわかる。こんなのに「今の時代が映っている」とかダマされるのは若い監督を人より先に認めようと焦ってるおっさんだけ。何歳が作ろうとヘタな映画はヘタなんだよね。
朝日新聞の映画評で北小路隆志さん(誰)がほめてて新宿まで見に行ったけど、はじめの30分で帰ろうかと思ったね。朝日新聞、もう絶対信用しねーぞ。な、なにが「資本主義」やねん!
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