「久々の乾いた’Neo-noir’ 映画。」KILLERS キラーズ 10人の殺し屋たち Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
久々の乾いた’Neo-noir’ 映画。
以前は軍事攻撃の用語として存在をし、今ではコンピューターのサイバーなどのセキュリティの分野で使われるとされる、この映画の原題の「Kill Chain」という言葉。その言葉とは裏腹に.......映画は次元が違う’Hotel del franco’を舞台に物語が始まる。
You know a man named Araña?
-Spanish for "spider", right?
I don't know him. I'm supposed to be meeting him here.
-Meeting a guy named Araña?
この映画全体として、シナリオの構成から言って、"Kill Chain" という言葉よりは、どちらかというと"Spider" という言葉のほうが、この何とも言えない’Neo-noir’ 映画としての雰囲気を表していると個人的に思っている。
”Clerk, bartender, security guard, owner.”と名乗るAraña。赤いドレスなんてよほど体の線に自信があり、もちろん必須の美形に加え、エキゾティックさが、その雰囲気に味付けをしている女性。アナベラ・アコスタ演じるレナータが、’Hotel del franco’を訪れる。
2019年の元日に彼の主演作映画「トゥ・ヘル(2018)」をいそいそとそわそわと観ようとしたのに、元日から失望される羽目になるとは思わなかった自分がいた。あ~ぁ、一年のショッパナからこんなことになろうとはと思っていてもなおも彼の映画を見てしまう......何故か?
それまでは、多くとも年間4~5本の映画に出演したものが、2018年から2019年かけては、合わせて18本の映画に出演をし2020年にはすでに4本の映画が公開されようとしている。それに関連して、ハリウッドのより大きな業界の出版物ではほとんど無視されているあまり知られていない映画イベントをカバーすると言われている映画業界専門ウェブサイト・IndieWireより、"Nicolas Cage Knows That Most People Watch His Movies on VOD, and He's OK With That"でインタビュアが次のようにニコラス・ケイジに質問をしている。「あなたは非常に不安定な人を演じる傾向があり、その結果、時々あなたはトップだと思う人がいます。 その特徴についてどう思いますか?」ニコラスさんは、それについて、「私はずっと前に、自然主義的な演技を探求するだけではないという決断をしました....... 私は芸術の共時性を信じています。ある芸術形態でできることは、別の芸術形態でできるということです。」
synchronicity:共時性◆心理学者カール・ユングが提唱した。
彼が、このように明言するからには、いわゆるB級とされる映画、つまり、VODにスルーしてしまう今回の映画の様な作品にこれからも進んで出演されるという事か?
Two rooms. You only have two customers.
-Slow season.
How do you make a living?
-Low overhead. Occasional opportunity.
冒頭、黒い車を上空からなめまわすように撮影をし、その不気味な街並みを通り過ぎるとあからさまにギャングのメンバーとわかる2人の男が車から降りてきて、売春行為も人目をはばからずに行われている場所に位置している’Hotel del franco’(フランコのホテル)に入っていくところから始まる。銃を構えた2人に対してArañaは、動じもせず「面白い話があるから聞いてくれ」という。その事より、数時間前にフラッシュバックをして、この凄惨な映画の幕開けとなり、またオープニングのシーンに戻るというシナリオになっている。そしてラストの乾いたライフル音が響き渡る映画となっている。
この映画を称して’ドミノ倒し映画’と言っていたサイトがあったが、確かにドミノ倒しのように次から次へと人が殺され、バトンタッチのバトンのようにダイヤの原石が人の手に渡って行く。個人的に1時間なんてあっという間で、サクッと観ることが出来た映画と言っていいのは確かな事でニコラスさんの映画としたら、珍しいと一言で言えます。
amazon.comではすでにプライム・ビデオとして無料配信されていて、数少ないレビューの中身は☆5と☆4しかないものとなっているので、そこそこは失望しない映画と言えるかもしれない。