「映像と音の力は物凄い。のだが…」MONOS 猿と呼ばれし者たち osmtさんの映画レビュー(感想・評価)
映像と音の力は物凄い。のだが…
とにかく映像と音の重層的なイメージが発するストロングな世界観は物凄い。
タフな役者たちの演技も本物のゲリラにしか見えず、まさに命懸け。
しかしストーリーには奥行きが無いのが何とも残念。
あの役者たちとだったら、もっと「闇の奥」まで行けたと思う。
ガルシア・マルケス的な展開も期待していたのだが…
たぶんマジックリアリズムな世界を構築したかったはずだが、そういう点でも、ちょっと物足りなかった。
そう!敢えて一言で言えば「マジック」が足りなかったのだ。
マジックを作ろうとしているのは分かるのだが、結果、最後までスクリーンに、そのマジックは現れては来なかった。
あの強力なミカ・レヴィ作曲のサウンドトラックとの相乗効果によって、現れて来ても良かったはずなのだが…
まあ、映画で魔術を実現すること自体、過去を振り返ってみても、フェリーニ など限られた作家だけの特別な才能とも言えるので、それを要求するのも酷な話なのかもしれないが…
でもなあ、あの役者たちと、あの映像と、あのサウンドトラック…
う〜ん、やっぱり期待しちゃうよな。
特にジャングルの場面では、もっと地獄の泥沼のような狂気のカオスと化した、混沌とした殺し合いでもあるかと思っていたのだが…
やっぱり戦闘の現場は、銃はもっと派手に激しくブッ放さないと!物足りんわ!
海外のレビューでは『地獄の黙示録』級なんてのもあったようが、アレには遠く及ばない。まあ予算の規模自体が違うのだが…
映像と音の構築力が桁外れにズバ抜けていただけに、ちょっとばかり残念な作品ではあった。
まだ3作目だし、次回に期待しよう!
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