「難解な作品」Away R41さんの映画レビュー(感想・評価)
難解な作品
非常に抽象的かつ象徴的な作品
ストーリーはあるものの、その意味しているものを解釈するのは難解だ。
言葉はなく、音楽だけが漂っている。
ヒントはこの「Away」というタイトルに込められているのだろう。
Awayにある意味は様々だが、「離れて」とか「どこかへ行く」という物理的な意味よりも、「旅立ち」や「逃避」、または「再生」を意味しているように感じる。
冒頭、主人公の少年はパラシュートが木に引っ掛かっているシーンから登場する。
気が付くと巨人というのか巨大な獣人のようなものに捕まって食べられてしまいそうになるが、それをすり抜けて逃げる。
追う巨人だが、丸い輪の中にある世界の前で動かなくなってしまう。
この場所は「聖地」なのだろうか?
難し過ぎてレビューがあらすじになってしまう。
さて、
飛行機の墜落 命からがら脱出した少年 しかし仲間の多くが墜落死したのだろう。
仲間の霊のようなものと巨人の姿が非常によく似ていることから、巨人とは少年の中に巣食う「恐怖」や「不安」の象徴なのだろう。
そして巨人は動物たちの命を吸い取る。
命を吸い取られた動物は眠るように死んでいく。
また、
この島は少年らの知らない異国であり、少年がいた場所との相違があるのは間違いないが、リュックと中の道具、バイクがあるので、この世界は少年の内面を表現しているとも受け取れる。
飛行機事故と脱出は少年の現実だと思われるが、その出来事を含めて少年はその現実から「逃避」したいと考えていたのだろう。
しかし「現実」とは、少年の妄想、または夢の中にさえも巨人という姿を変えて登場してきた。
チャプター1「禁断のオアシス」
巨人が侵入できない場所であり聖地のようなところ
そこが「禁断」であるのは、そここそがどこにも通じない場所であり、少年の逃避現実がある場所だろうか。
水も食べ物もあるし居心地がいい場所だ。
しかし、地図には人々の住む街と船が記載されている。
誰もいないこの場所にいつまでとどまっていることができるだろう?
意を決した脱出
その先にあるのは巨人という一生付きまとってくる恐怖や不安
逃げても逃げても追いかけ続けてくる。
そこは少年の現実世界ではない場所であるにもかかわらず、同じような恐怖は存在した。
選択のすべては少年にある。
チャプター2「鏡の湖」
鏡が映し出すのは自分の姿であり、それこそ自分自身の心ということだろうか?
巨人を倒すために大きな石を転がして木の橋を壊したものの、巨人は地の底から這いあがってくる。
この不安とか恐怖とかからは絶対に逃げることなどできないのだろう。
チャプター3「眠りの井戸」
井戸の水を飲んで眠る猫の大群
現実逃避の象徴だろうか?
そのまま現実という恐怖によって死んでしまう選択肢もある。
何もせず、ただ死を待つという選択肢もあるだろう。
チャプター4「霧の入り江」
少年は雪山の登頂付近で力尽きた。
巨人に襲われ、死に取り込まれた。
それを救った黄色い鳥
ヒナだった鳥は少年に命を救われた。
人は皆不安や恐怖に勝てるのだろう。
一度勝てば同じ恐怖や不安は無意味になるのだろう。
あのリクガメは何だろうか?
カメとしてゆっくり歩くが、そこにある確かな目的
家族を探す旅だったのだろうか?
少年は雪崩に巻き込まれるかそれとも決死のダイブをするのか試される。
最後は勇気だろうか?
最後にようやくたどり着いた街
そこに感じる安堵
逃避してきた人生に立ち向かったことで得られた何か。
Awayとは、苦しみや困難から「離れる」こと、つまり再出発の意味があるのだろうか?
象徴的で解釈が難しい作品だが、普遍的な概念を描いているのだろう。