「ピヨ🐤」Away 吹雪まんじゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
ピヨ🐤
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「FLOW」を観る前に同監督による初長編アニメを鑑賞。これを一人で作ったなんて、正気の沙汰ではないな…。
始まった瞬間、どっかで見たことあるような…こういうタッチの絵のゲームありませんでしたっけ?のぺっとした塗りのシンプルな造形のキャラクター達。キャラクター達と言っても出てくるのは「人(1人)」「鳥」「……四本脚の動物(笑)」「亀」「猫」こんなもんでしたっけか。あ、あと「巨神兵」ね。
そう、この巨神兵がなかなかの曲者で。この巨神兵が一つの舞台装置となって、主人公を動かしていきます。旅をするきっかけも、何かをする動機づけも、だいたいこいつ。巨神兵がいなかったらほのぼのロードムービーといったところですが、こいつのおかげで緊張感が生まれ、なにより作品に哲学的な考察を生み出しています。
ジブリでいうところの「シシ神様」ポジの巨神兵がもたらす「死」とは。なぜ冒頭食べられた(?)主人公は生きているのか。終盤取り込まれた時とどう違うのか。冒頭ではまだ例の鳥はいなかった。そもそもこの世界は死後の世界なのか?少年の精神の暗喩なのか?世紀末ヒャッハー後の世界なのか?考察が非常に楽しい作品ではありますが、これといった答えは決めず、各々が感じたままでいいのかなぁ、と思います。
シンプルでありながら、非常に印象的なカットが多いです。煙を上げながら飛んでいく飛行機。ぐるぐる斜面を登り降りするニャンコ達。鏡の湖を鳥の大群と走るバイク(名シーン!)。石のゲート。ピヨちゃん。ピヨ。
「FLOW」の予習として観ましたが、素晴らしい映像と音楽、そして独特の世界観に引き込まれる作品でした。
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