「「ちゃんと見た方がいい」 きりたんぽ鍋を作る時に鳥をつぶし逆さに吊...」光を追いかけて 朱映さんの映画レビュー(感想・評価)
「ちゃんと見た方がいい」 きりたんぽ鍋を作る時に鳥をつぶし逆さに吊...
「ちゃんと見た方がいい」
きりたんぽ鍋を作る時に鳥をつぶし逆さに吊るしたシーンで真希が彰に言った言葉。
秋田の美しい風景の中で疲弊する農村の姿を私は「ちゃんと見なければ」と思った。
1年間育てた田んぼの収入が80万円。これでは村を出る人が続くのもやむを得ない。そんな大人社会の影響をそのまま被るのが子どもであり、閉校祭に向けて中学校生活を送る彼らには胸が締め付けられた。
東京から転校してきた彰が一人で書いた全員分の似顔絵を真希が破ったことによって、生徒一人ひとりが自分で描くことになる。
これがこれからの時代を生きて行く可能性だと思った。地産地消に代表されるように、その土地の人々の中で循環する社会。エンドロールで写し出されていた風力発電こそがその大きな象徴だろう。きりたんぽ鍋や民謡など、土地で受け継がれたものがまだ多く残っていることも救いであり、それら全てが彼らの「光」となって行くことを願いたい。
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