「ミスディレクション」仮面病棟 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
ミスディレクション
面白かった。
脳内を迷走させるためのミスディレクションが堪らない。
多少強引な箇所もありはしたものの、点と点が線になっていく収束力が心地いい。
構成もさる事ながら、キャスティングにまで配慮するとか小賢しいのである。
佐野岳がたったアレだけで出てくると誰が予想するだろう?あの3人はいい仕事してた。
振り返るに、おそらくならば身長にまで配慮されたキャスティングなのかもしれない。
脚本の展開も面白くて、徐々に紐解かれていく秘密が楽しい。臓器移植に関しては割と早い段階で察知もするのだが…まさかの二転三転の結末だった。
取り調べ室にいる当直医すら疑う余地があった展開の巧みさに脱帽する。
おそらく色んなパターンを想像しながら見る事になる。日本のロジックや韓国のロジックにまで思考は及ぶ。
それらを尽く乗り越えて物語は整頓されていった。エンドロールの脚本には原作者の名前もコールされていて、観客の思考まで考慮したような構成にも不思議と納得させられた。
何よりお気に入りがカメラと編集だ。
あのアングルを誰が指定したのか雰囲気ありまくりの絵が物語を盛り上げてくれる。
編集も常に小気味がいい。
意味深なカットは随所に挿入されるも後に続く展開への布石というか、直感的には感じた「?」の疑念のみを積み重ねさせられていく感じで楽しかった。
久々に良質なミステリーを見た。
元精神病院とか寝たきりの患者達とか、発狂する老婆とか鉄格子とか…入念なギミックが世界観を盛り上げてくれる。
導入の逆光の取り調べ室とか、そこから繋がるのが土砂降りの雨の中とか…そんな構成にも煽られる。
いやぁ、お見事でした!