劇場公開日 2019年12月13日

「違うふたりが出会う。だからこその恩寵。」2人のローマ教皇 xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0違うふたりが出会う。だからこその恩寵。

2020年3月8日
iPhoneアプリから投稿

キリストだったり仏陀だったり、信じる対象は異なっても、宗教は生きづらさを少しでも助けたり支えたりしてくれる、人類に平等なものだと思います。

でも、全ての組織にいえるのかもしれないけれど、大勢の人が集まってくると、必ずパワーバランスや考え・感性の違い、そしてそれが軋轢や争い、闇も生みます。正しく堅牢にしようとすると、堅い殻の中で、何か空気が澱み、おかしな感じになっていく。
昔も今も、体制へ意見し風穴を開けようとすることは、キケンを孕みます。特に、自分が勝つことにこだわる人が上に立つと、違う意見は潰され、排除され、存在ごと消される。いつしか組織は、上に気に入られるかどうかが評価基準となり、不祥事が起きても蓋がされ、シモジモの声は置き去りにされていく。
意見する方も、諦め、離れることで生き延びようとする。

異なる意見=風を入れると体制が揺らぐかもしれない。きっと上に行くほど、不安は告解出来なくなる。本音での対話を避け、不信が生まれる。
「不信」は、感染するのが怖いですね。そして、人を信じられないのはやっぱり、気の毒だ。見過ごせない。教皇はいつも食事を、1人で、とっているのです。相当これは不信病、重症です。愛を説くのがキリスト教、そのトップがそういう事態になっている。
不信、それに対する予防や治療の術はあるのか。
教皇が云います。「神の声が、最近は聴こえなくなってしまった。」トップの、きっとはじめて吐く弱音。多分、神の声を聴くくらいの真剣さで、人の声を聴かないといけない。でもそれにはまず、本音を吐き出さないと。吐き出して、初めて人の声が入る余地ができるのでしょう。そしてそれは、教皇だけでなく、私たちも同じ。吐き出して、且つ、聴けたら。
私も努力してはいるけれど、もちろん、必ずしも、話せばわかりあえるわけではない。そんな簡単じゃないことも、生きていけばわかってくる。新たに教皇になる方も、辛い過去がある。人間らしく人生を楽しみたいだけなのにね、本当に。新教皇、応援してます。

xmasrose3105