「誰の幸せを願うか」his かわせみさんの映画レビュー(感想・評価)
誰の幸せを願うか
同性愛者としての自分のアイデンティティを一番に考えるのか、生まれた子どもの将来を一番に考えるのか、考えさせられる。
結果、玲奈に親権を譲る渚。子どもへの愛は伝わってくるけど、結局土壇場で母親に押し付けるのか、と最後まで無責任だと思った。
同性愛者というアイデンティティ以前に、渚の身勝手さが目立つ。元の男のところに身一つ(子連れだけど)で押しかけるのも身勝手。子連れで居座るのも身勝手。子どもには選択権がないのに、子どもをその環境においておくのも身勝手。ずっと一緒にいた子どもを、父親にすがった子どもを、最終的に手放すのも身勝手。
結局渚は、子どもを犠牲として自由を手に入れた。
自分のしたことの重大さが分かっているのだろうか。愛する人と一緒になれれば、それでよかったのか。
それは、母親と子どもの犠牲の上に成り立っている。
親権こそ得た玲奈だが、相入れない考えの実の母親と、協力しての慣れない子育て。
自分を否定する母親に、頭を下げるのは辛いだろう。孫にも、自分と同じように厳しいしつけをする母親。それを目の当たりにする玲奈も辛いだろう。過去の自分を思い出してしまいそう。。そらちゃんの心も不安定になり、やはり一番の犠牲者は子ども、だと実感する。
自分たちが一番弱いと思っていた。
渚の言葉だけど、、、結果、違ったよね。
一番弱いのは、子どもとその母親だったよね。
渚は、自分が弱者ではないと分かり、安心したのか?自分は、自分のままでいいんだ、と思えた?それは良かったと思う。でも。
じゃあそらちゃんと、玲奈さんを守ってあげてよ、って思う。親権渡して泣いていたけど、、悲しいのはわかるけど、本当に弱い立場の人を、もっと守ってあげてよ。渚なら、弱い立場の人側に立てるはずだと思う。
心は優しく、穏やかで、自分に正直な渚。
でも人の人生に対する責任感がなさすぎる。
渚に全く共感できなかった…。
子どもから大人に成長していって、色んなことが分かってくるそらちゃんの幸せを、心から願った。
どうか、そらちゃんは、今のまま真っ直ぐな心で、笑っていてほしい。。