劇場のレビュー・感想・評価
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恋愛舞台の苦悩。
原作は読んでいないのだが、タイトルの劇場とは、もちろん登場する下北沢の
舞台のことかと思いつつも、恋愛は舞台劇のようだと思える作りになっていた。
ほぼ二人称のような恋愛舞台は、かなり気味の悪い出逢いから、一緒に暮らす
沙希の部屋まで会話が続き、合っているような合っていないような、とはいえ
夢を追う喜びや切なさを共時する二人には、癒しと笑いの心地良さが常に響く。
こんなろくでなしの男をと、人嫌いでプライドが高く、沙希に対しても悪どい
言動を繰り返す永田だが、自分の夢を彼の才能に準え、懸命に応援支え続ける
沙希のような女性は、おそらく数多くいる。それに支えられ、夢を叶えた男も
数少なくもいるわけで、だから今作はそういう部分での共感度が高いんだろう。
食えない暮らしを支えてくれたひと。いつか食える日がきたならめいいっぱい。
これも純愛なのだと思う。キスもセックスも出てこない二人の暮らしに一筋の
愛欲が添い寝や抱き枕のような触れ合いから感じ取れるところがさすがの演出。
やたらモテる沙希が他人と接するのを、極度に嫉妬する永田の変質度はバイク
を破壊するところや、自身のズルさをブロックで表すようにとことん小賢しい。
単に利用しているだけじゃないか。女をなんだと思ってるんだと思いたくなる。
それでも、彼女が笑っていてくれることがすべて。沙希が笑っていないと、な
ぜか怒られているような感じがした。という永田。そんな生活が徐々に崩れて、
沙希が将来を悲観し酒に溺れるようになっていく。自分のせいと知りながらも
こんな食えない状況で結婚など、安定感のある暮らしを永田が選ぶはずがない。
女をダメにする男と、男をダメにする女。それには未来はないのだろうか?と
他の道を選択しながらも、なかなか離れられない二人。これもある意味依存だ。
後半の映画ならではのマジックも良かったが、個人的には後半で、沙希が言う
永くんはなにも変わってない。変わったのは私。歳をとって将来を考えたから。
という台詞が辛かった。好きになったのも、支えてきたのも、全て自分の責任。
だからあなたはあなたのままでいい。どうか夢を叶えて。私はもう無理だけど。
という想いが透けてしみる。自分が選んだ相手との経緯も別れも相手のせいに
しない潔い生き方の沙希を、この先、うんと幸せにできる誰かが愛してほしい。
とはいえ恋愛は、また同じようなひとを選んで、繰り返すことも多いんだけど。
永田は、永田なりの決意と、この先の活躍を、彼女に見せていってほしいなと
願いながら、この舞台が終わっても苦悩はおそらく続いていくことを認識する。
ちょっとついて行けない
それぞれをきっと自分と重ねてしまうだろう…
下北沢、高円寺という街はやっぱり音楽や演劇、芸人の下積み生活の街。
でもなんだかノスタルジックで、情緒があふれる街並みですよね。
本当に永田はしょうもないクズ男。プライドは高いのに自信はないし、小心者。自尊心ばかり高くて、不器用でカッとなると何をするかわからない危うさを持つ人。
そんな永田を、いつも温かく優しく見守ってくれる母親のような沙希ちゃん。でも、優しくされればされるほど、何もできない自分が惨めになって、沙希ちゃんのことが疎ましくなってきちゃう。
男性から見たら、あっ俺永田と同じだって思う人、女性から見たら、自分の彼氏と同じ、私沙希ちゃんみたいかもって思う人、いるんじゃないかな。
ラストシーンはびっくりの舞台に変わっちゃって、そこでやっと永田は自分の思いを全て伝えられたのね。ちょっと遅かったよ。でも彼っぽいかな。この舞台が満員御礼のようでしたので、きっと劇団おろかはなんとか持ち直したのかな。ってことは、きっとこの2人の恋愛もきっと意味があったのだし、永田も沙希ちゃんも一歩踏み出すことができたわけだから、よかったね。最後の方は自然と泣けてきちゃいました。
この作品は特に劇場で是非見てほしいです。
何をしていいのかわからないもどかしさ
理想と現実の折り合いを人生と呼ぶならば
人は妥協点を見つける必要がある。
妥協点を見つけられず苦悩する人間に世の風当たりは冷たい。
夢を追いかけ理想と言う名の駅を目指している者は夢の途中で現実という名の駅で多くは下車してしまう。
理想と言う名の駅に辿り着ける者はどれくらいいるのだろうか?
ほとんどいないんじゃないか?
夢破れ現実と言う名の駅に途中下車するタイミングは人それぞれだが、下車した者は劇場の舞台から退場し、客席側に回る。
客席から羨望の眼差しで舞台を見つめることになる。
でも、それも、一時だけ。舞台が終われば客席の人たちは現実という名の居場所にかえって行くことができる。
居場所の定まらない夢追い人はいつ希望と言う名の電車から降りることができるのだろうか?
降りるタイミングを見計らい苦悩する主人公の行く末が気になる反面、行く末を知りたくないもない。
何をしていいのかわからないもどかしさだけが心に残る。
不器用な二人の恋愛劇
夢を追う男と彼を信じて満ち続ける女が繰り広げる不器用な二人の恋愛劇。まさに小説を読んでいるかのような作品構成。途中からはもう展開が読めてきて飽きてしまったがラストに待ち受ける仕掛けには驚いた。行定監督も話しているようにこの仕掛けは映画館で観たほうが劇場感が増すように感じる。
2020-123
正直すぎる若もんの姿
劇場受難の年の素敵な劇場でした
オトコにはそれぞれの〈沙希〉がいるかもしれない
2点はキャストの顔面偏差値のみへ評価、つまらないです
7年振りの感動の作品でした‼️
久々に本当に心から感動しました。
作品を手掛けた皆さんに感謝しきれません。素敵な作品をありがとうございます。
何よりも山﨑賢人さん、過去の作品は沢山観ていますが、今回も演技が大変上手で本当に素晴らしいです。
はじめは窪塚洋介さん?瑛太さん?みたいな雰囲気もあり
でもやっぱり永田という別の人間で、雰囲気がとてつもなく恐ろしく独特な感じも今までの山﨑賢人さんとは思えません。
暗く淀んだ赤い瞳、冷たくて寒気を感じる様な恐怖もありました。
でも途中何度か永田の笑顔を見れた瞬間、やはり山﨑賢人さんにしか出せないエネルギーというか、キラキラ眩い物凄い破壊力で打ちのめされました。
その後、Amazonプライムで3回観ました。
中毒性がある、魅力的な映画だと思いました。
まさに、生涯忘れられない映画の一つになることと思います。
また、私は観ていて勇気を与えられました。
観る人の心の奥深くにまで突き刺さるような、そんな映画です。本当にありがとうございました。
エンドロールが終わるまで。
心えぐられる純文学の世界
作品が醸し出す空気感が好き。余韻も続く。
贔屓目ですが…
世界観が溢れ出ていた。 途中に入ってくる感情のナレーションが又吉先...
世界観が溢れ出ていた。
途中に入ってくる感情のナレーションが又吉先生らしい詩的な文でよかった。
感情の表現が凄い分かりやすくて大袈裟に表すっていうのがこの作品らしくて味が出ていた。
舞台を小さな劇場で表現していたのは最初から最後までだったのかもしれない。
「演劇で出来ることは現実でも出来る」
この台詞は1番印象に残った。
そこからまさか映画の世界から劇場の世界にする表し方は驚かされたし圧倒させられた。
急な展開が起きてさきちゃんはひたすら涙してごめんねって、あまり状況理解できなかったけど感動した。
話は理解するのがなかなか難しい作品だったけど展開についていくのに感情が溢れ出て奥深い感想を説明しにくい作品だった。(いい意味で)
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