「思い と 見えているもの」劇場 またぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
思い と 見えているもの
クリックして本文を読む
自分はなぜか松岡茉優は少し相性が良くないのだけど、山﨑賢人が主演したこの作品は、原作者や監督のインタビュー記事などから興味がわき吉祥寺へ。配信されてることは切符を買った後で知ったのだが、結果としては劇場で、(見知らぬ人たちの間に座って、見知らぬ人たちの頭越しに)スクリーンで見てとても良かったと思う。
夢をまっすぐに真剣に追いかけ続けている、というわけでもなく、むしろどう行動したらいいのかもわからず、若い貴重な時間は無為に過ぎていく。恋愛も仕事も友情も、正直に適時に事実を理解させてくれたりはしない。あり得たかもしれない今を思いつつ、どうあってもあり得なかっただろうなと納得するしかない。事の大小は違えど大人なら誰もが共感せざるを得ない物語でもあったと思う。
映画として決して嫌いな作品ではなかったのだが、もう少し時間を使ってでも、時間の流れを丁寧に描いてほしかった。松岡茉優が私は27歳と語ったとき愕然とした。どうしても2-3年にしか思えなかったのだ。また最初に数回劇団の様子と舞台が出た後、山﨑賢人が芝居に取り組む描写がほとんどなく、5年なのか7年なのか経過した後、居酒屋で他の劇団のメンバーと語る時点で現役なのかどうかもわからなかった。本は書いていたし、セリフでは舞台を続けていたらしいことが後から語られるが、その間の練習も舞台も劇団員との交流も、その創作やマネタイズの苦労も外部の評価の変化も、途中で少しづつでも描かれていたらと、残念でならない。
コメントする