「敢えてこのタイトルを…藤原啓治最期の旅」ドクター・ドリトル 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
敢えてこのタイトルを…藤原啓治最期の旅
一度目の映画化は1967年。アカデミー作品賞にもノミネート。(主題歌賞・視覚効果賞受賞)
2度目の映画化はエディ・マーフィ主演で1998年。こちらはリアルタイムで見た。(2001年には『2』も公開)
今回で3度目の映画。他、アニメーションなど映像化多数。
お馴染み、動物と話せるドリトル先生!
愛妻を亡くして以来広い邸宅に仲間の動物たちと引き籠り、門すら閉め世捨て人となってしまったドリトル先生。
ある日、宮殿に呼び出される。旧知の女王が病に倒れ、唯一の治療薬である“エデンの樹の果実”を手に入れる為、伝説の島目指して仲間たちと冒険に出る…!
98年版は現代を舞台にしたアレンジだったが、今回は67年版の作風を踏襲。むか~し昔で冒険ファンタジー。
しかし、単純なファンタジー冒険物語に非ず。裏には女王の側近らの陰謀絡み、行く手を阻む。
ユニークだが、各々“心の病”を抱えた動物たち。
それはドリトル自身も。実は愛妻は、“エデンの樹の果実”を探す旅の途中で亡くなった。彼にとってはトラウマであり、冒険を通じて“治療”。
ひょんな事から助手となった少年、スタビンズ。少しずつ動物たちの言葉が分かるようになり、未来のドリトル先生に…?
因縁ある海賊や終盤は思わぬ“動物”まで登場!
ドリトル先生と動物たちの掛け合いはユーモラス、ファミリーで楽しめコミカルなアクション、たっぷりのCGを駆使してファンタスティックに、手堅い児童文学の映画化。
そう、子供向けもしくはファミリーで見るにはいい。でも、それ以外だと…。
良く言えば快テンポではあるが、悪く言えば色々と話や展開が軽すぎ。例えば、ずっと引き籠りだったドリトルが何故急に冒険に出る決心に至ったのかとか、女王の命の事もあるが唐突過ぎる気も。
思ってた以上にドタバタ色が濃かった。
ロバート・ダウニーJr.の演技は楽しいが、『アイアンマン』『シャーロック・ホームズ』ほどハマらなかったかな…。にしても、アントニオ・バンデラスがロバートの義父役って…。
本作の見所の一つ、CGで作り上げられた動物たち。まるで人間のような喜怒哀楽の表現は愉快だが…、でも時々そのCGが見事だったり粗かったり。
話題はこちらの方かもしれない。動物たちの声を担当した超豪華なスターたち。字幕でも吹替でも。どちらで見るかはお好みで。
何にも考えず気楽に見られるが…
“いい治療”とまではいかず。
全米での大不発も何となく。
シリアス作家、スティーヴン・ギャガンにはこの手の作品は向かないかも。
せっかく門を開いたドリトル先生と仲間たちだけど、新たな冒険は無いかな…。
やはりどうしても吹替で鑑賞。
追悼・藤原啓治さん…。